リスクファクターは「多量飲酒」「喫煙」「肥満」

まず、どんな人が膵臓がんになりやすいのか。好発年齢は、60代半ばから70代です。60〜80歳の人が8割を占め、男性がやや多い傾向があります。

慢性膵炎がある人はない人に比べて膵臓がんの発症率が13倍も高いという調査報告があります

生活習慣面では、「多量飲酒」「喫煙」「肥満」などがリスクファクターとして挙げられています。このうち、飲酒に関しては、長年の多量飲酒の習慣によって慢性膵炎が引き起こされ、炎症による膵管の破綻と修復が繰り返されることで、がん細胞ができやすくなるものと考えられます。

灰皿に乗るタバコとアルコールの入ったグラスを持つ男性
写真=iStock.com/Srdjanns74
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遺伝的素因は、慢性膵炎に関与している場合もありますが、膵臓がんの発がんに直接関与している場合もあると考えられています。膵臓がんの患者さんの家族歴を調べたいくつかの研究報告によると、家族の中に膵臓がんになった人がいた患者さんは、3〜9%もいたそうです。

糖尿病があると膵臓がんの発症率は1.8倍に

そして、膵臓がんにつながりやすいリスクファクターとして一般によく知られているのが「糖尿病」です。糖尿病があると、膵臓がんの発症率が1.8倍になるという調査報告があります。そのほか、IPMNなどの膵囊胞がある人も、もちろん発症率がグッと高くなります。

最近は膵臓がんを超早期に見つけるための「膵臓ドック」「膵臓がんドック」などもできています。たとえ「膵臓がんリスクが高い人」であっても、こういった施設で専門的な定期検査を受けていれば、もし膵臓がんになったとしても、本物の不良かせめてチンピラになったくらいのうちに見つけて、膵臓がんから命を守っていける時代になっているのです。

ですからここに挙げたようなリスクファクターが当てはまる方は、定期的に膵臓の状態をチェックすることをお勧めします。