「給料以外の仕事はせんで」と指揮官を困らす
陸士隊員でも、ブッコミネタをする度胸のある隊員が多く、ヤクザみたいに強面の曹長に、
「班長、若いころは曹長じゃなくて暴走族の総長だったんでしょ?」
ときわどいボケをぶちかますときもあります。こんなことは九州などの感覚なら許されないことですが、関西ノリだと、
「アホか! なんでやねん!」
で丸く収まったりします。
ただ、関西人の気質として、「わしゃ給料以外の仕事はせんで」という商売人気質の隊員が多く、九州みたいに従順に仕事をしてくれる若手が少ないため、指揮官は苦労します。
こんな関西ですが、まれにメタモルフォーゼ的に、部隊をバリバリと切り盛りする、すごく優秀なスーパー関西人の隊員が現れます。ただし、そんなスーパー関西人も、スーパー九州男児みたいなのが現れると、途端に声が小さくなったりします。それも関西気質でしょう。
隊員が転属先を考えるときに、大阪はコテコテの関西なので、もっとマイルドそうな京都か兵庫に希望を出すと、大阪以上に関西人気質が強烈な土地柄の福知山や姫路などに配属されたりします。ですので、自衛隊内では、大阪と兵庫の境目にある伊丹駐屯地と千僧駐屯地こそがマイルド関西な感じで至高であると言われています。
九州の人々は驚くほど自衛官に優しい
九州は、自衛官の名産地と言っても過言ではありません。都道府県として見れば、北海道出身者が陸上自衛官の割合で1番多いのですが、地方としてみれば、福岡、熊本、鹿児島を中心とした戦闘民族九州男児が最大勢力です。
他の地方の隊員が九州に赴任して驚くのが、迷彩服で街を歩いているだけで、知らないおばさんから、
「自衛隊さん、いつも国のためにありがとうございます」
と猛烈に感謝されたりすることです。自衛隊車両で街を走ると、ロックスターを見つけたかのように手を振ってくれる子供たちもいます。
自衛隊に友好的でない街の出身の陸上自衛官は、地元で冷たい扱いをされたり、知り合いから「負け組」などと言われ、辛酸をなめたりします。ですが、九州の人々は、陸上自衛隊に九州の美学を感じ取るため、陸上自衛隊を特別な存在だと思う人が多いです。