外出中に災害が起きたとき、無事に帰宅する方法はあるのか。元陸上自衛官のぱやぱやくんは「家まで20km以内であれば歩いて帰るという選択肢がある。体力に自信のある人でも、20km以上の距離は難しいと考えておいたほうがいい」という――。

※本稿は、ぱやぱやくん『「もう歩けない」からが始まり』(育鵬社)の一部を再編集したものです。

街を歩く人々
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです

懐中電灯よりヘッドライトのほうが楽

日常ではあまり使わないアイテムですが、災害時の備えとして、ヘッドライトとメッシュベストを持っておくことをおすすめします。

ヘッドライトは、夜間の避難や物品捜索に役立ちます。一般的な懐中電灯を使用すると、手がふさがってしまい、作業効率が下がります。ですが、ヘッドライトを使用すれば、両手が使えるようになり、手元が照らされ、ストレスなく作業することができます。夜間に避難するときも、自分の進む方向が常に照らされるので、懐中電灯のように手で進行方向を照らす必要がなくなり、気が楽になります。

メッシュベストは、ポケットがたくさんあるため、財布、スマホ、充電器、予備ライト、非常食、ホイッスルなどのアイテムを収納でき、すぐに取り出すこともできます。利便性を求めるのであれば、メッシュベストは機能的に優れているので1着は持っておくといいでしょう。

東京駅から中野駅まで歩いて帰れるか

大震災が発生したときには、交通機関がストップし、徒歩で帰宅せざるをえない状況が発生することがあります。そのような状況下で、「よし、今日は歩いて帰ろう!」と何も計画せずに軽い気持ちで徒歩で帰宅することは危険です。無計画の軽い気持ちで帰るくらいなら、その場にとどまっていた方がマシだからです。

徒歩で無事に帰宅するには、事前の計画、準備、工夫が必要です。なぜかというと、帰宅時に2次災害を起こしてしまうことがあるからです。帰宅の途中に体力の限界で歩けなくなる、熱中症や低体温症で搬送される、などの2次災害を起こさないことが大切です。

そのためには、日ごろから、「自分が歩ける距離」を知っておくようにしましょう。内閣府防災情報によると、10km以内は全員完歩、10km以上からは帰宅困難者が発生し、20km以上は全員帰宅困難としています。

東京駅を起点にすると10km、20kmは次の駅が該当します。

◎10km=綾瀬駅、中野駅、下北沢駅、大井町、葛西駅
◎20km=新松戸駅、三鷹駅、登戸駅、川崎駅、船橋駅

ただし、これは直線距離での計測になるので、実際のルートではさらに距離が伸びます。