患者の入院調整が上手くいっていなかったのか
都道府県によって逼迫状況が異なった可能性もあるが、確保病床の病床利用率が50%を下回った病院が、2021年1月には全体の43.1%を占める197病院、同年8月には136病院(28.5%)、2022年2月には136病院(27.5%)もあった。「医療が逼迫する」と国民を脅して緊急事態宣言を出していたというのに、実際には補助金が投入された医療機関が患者を受け入れていないことになる。
ところが、同検査院が、全国で病床が逼迫していた時期に患者の受け入れが50%を下回った医療機関に対して実施したアンケートの結果では、その9割の医療機関が「調査対象年月の1カ月間で、都道府県調整本部、保健所、救急隊等(以下、都道府県調整本部等)からのコロナ患者等の入院受入れ要請自体が少なかったため」と回答した。しかもその約7割は「都道府県調整本部等からの要請を断ったことがない」というのだから、単に補助金をばらまくだけで、患者の入院調整が上手くいっていなかったのかと思わざるを得ない。
早い段階で「2類相当」をやめるべきだった
それから、空港や港の検疫所で新型コロナの感染が判明した患者の医療費を国が負担する措置に対しても、17医療機関で、本当は請求してはならない消費税相当額として4258万円が過大請求されたことも分かっている。検疫所側にも、国民の大事な税金を扱っている緊張感が足りないとしか言いようがない。
過大請求とされていない補助金の中にも、本来は支払われる必要のないものがあったのではないだろうか。もっと早い段階で、新型コロナをポリオや結核などと同じ「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じような位置付けに移行し、軽症の人は通常の保険診療で外来治療をして、特に集中治療が必要な中等症・重症患者だけ入院させていれば、無駄な補助金を医療機関に支払い続けることもなくて済んだはずだ。