男女同数にできない構造的問題を解決すべき

国民民主党自体は、「女性候補者比率30%」や「党役員における男女同数」を目指すとしているが、党幹部が日本のジェンダー状況を全く理解しない時代錯誤な発言をしていては、せっかくの党の取り組みの「本気度」が疑われることにもなる。

ジェンダー平等という観点から言えば、閣僚はじめあらゆるポストで男女同数であるべきだ。それを達成できていないとすれば、何らかの構造上の問題があると考え、その問題解決を図るのが政治ではないだろうか。

注目を集めた「元首相の娘」の抜擢

登用された側で最も注目されたのは、自民党の選挙対策委員長に起用された小渕優子氏だった。自らの政治資金団体の会計処理問題で秘書が有罪となったにもかかわらず、当時から今に至るまで会見一つ開かず説明責任を果たしていないと批判された。この問題ももちろん大きいが、私が違和感を覚えたのが、彼女が抜擢された経緯だった。

報道によると、小渕氏の抜擢の背景には2つの理由があったと言われている。一つは総裁選で岸田首相のライバルになるであろう茂木敏充幹事長への牽制。小渕氏は茂木派に所属している。

もう一つは、自民党の重鎮と言われる男性たちの意向だ。小渕元首相の娘ということで、生前、優子氏の後見人となっていたのが、参議院のドンと言われた故・青木幹雄氏。森氏は青木氏の「遺言」を受け継ぐ形で、政治資金スキャンダル以降、要職に就けていなかった優子氏の起用を、岸田首相に強く進言したと報じられている。

この故・青木、小渕両氏と森氏は早稲田大学時代、雄弁会というサークル仲間だったという。まさに「オールドボーイズネットワーク」。こうした旧世代のネットワークの“引き”によって抜擢された女性が周囲からどう見られるか。

いくら本人に適性や実力があっても正当な人事とは見られず、「コネ」という負のイメージがつきまとい、組織で孤立する。結果本来の力を出せず挫折してしまうというのは政界に限った話ではない。優子氏にはいつまで「元首相の娘」がつきまとうのだろうか。