「付着部筋」をほぐしたほうがいい

また、ほぐす場所も重要になってきます。筋肉と一言でいっても、様々な種類の筋肉があり、いろいろな役割を担っています。そのなかでも、ほかの筋肉の部位より、構造や役割的な理由から、いちばん痛みやすい部分があります。

それが付着部筋ふちゃくぶきんです。「骨に付着している部分の筋肉」ということから、「付着部筋」と私は呼んでいますが、正式には、筋肉の付着部、付着点などといわれます。筋肉の中心から端に向かうにつれて硬いけんになっていきます。その端の部分こそが付着部筋です。

付着部筋の役割の1つとして、衝撃を吸収することがあります。筋肉は骨と骨をつなぎ、伸びたり縮んだりすることにより関節を動かしているのですが、伸び縮みが行われる際に負荷がもっともかかるのがこの付着部筋です。

柔らかい筋肉と硬い骨をつないでいる付着部筋はとても痛めやすい箇所なのです。衝撃を吸収する大切な役割を担っているのに、負担がかかりやすい付着部筋は、意識しないとどんどん固まっていってしまうのです。

そして、腰まわりには、たくさんの骨や筋肉が複雑に入り組んで構成されていますから、付着部筋もたくさん存在しています。そのため、この付着部筋をいかに傷めずにほぐすかが重要なのです。

朝は筋肉がバキバキになっている

突然ですが、1日のなかで、付着部筋の状態がいちばん悪いのは、次の3つのうちどれでしょう。

1.1日の始まりである朝
2.活発に動いている昼
3.1日の疲れがたまる夜

正解は1の朝です。通常、1日のなかでは朝がもっとも付着部筋が危険な状態だといえます。

夜の間というのは、寝返りを打つぐらいで、ほとんど筋肉を動かしません。そのため、血流を上げる筋肉のポンプ効果が、ほとんど発揮されない状態です。また、寝ているときは、夜も活動をしている脳や内臓に血が優先的にまわされて、筋肉の血流は落ちているといわれています。

血流は酸素という筋肉を硬くしないための重要な栄養を運んでいるので、血流が低下すると、筋肉は硬くなってしまいます。凝りやすい付着部筋は、油切れした機械のような感じなのです。

次に状態が悪いのが夜。朝がいちばん付着部筋が凝り固まっていて、日中は歩いたり、動くことによって少しずつ筋肉の硬さはほぐれていきます。そのため、普通に考えれば夕方や夜には痛みが少なくなっていっているはずですが、なぜ逆に痛みが増していくのでしょうか。

それは、日中の生活習慣に問題がある可能性があります。また、仕事で腰にとってつらい姿勢を続けざるを得ない方も、夕方から夜にかけて痛みが増していく傾向にあると思います。