整形外科では原因のわからない腰痛がある。整形外科医の佐々木政幸さんは「腰痛の約85%が、原因が特定できない『非特異的腰痛』と言われている。レントゲンを撮っても分からないのは、骨ではなく筋肉に原因があるからだ」という――。

※本稿は、佐々木政幸『1日90秒! 腰痛を自分で治すすごい方法 結局、腰痛は「ほぐし方」が9割』(アスコム)の一部を再編集したものです。

手で腰をおさえる男性
写真=iStock.com/Mintr
※写真はイメージです

腰痛の85%は医師でも原因が分からない

痛みが酷くなり、整形外科へ駈け込んでも、「異常なし」の診断が下されるカラクリはこうです。腰痛の診断は、主にレントゲンで行われますが、レントゲンで映るのは、骨だけです。筋肉はほとんど映りません。

骨が原因で急に腰を痛めることは、数としてはあまり多くありません。そのため「特に異常は見当たらないです」と答えるしかないのです。これが、「原因不明の腰痛」の割合が多くなってしまう大きな理由の1つです。

また、レントゲンを撮る理由は、重大な疾患であればレントゲンに原因となるものが映ることがあり、それらの可能性を除外するためです。しかし、そのような重大な疾患である可能性は少なく、結果的に多くの場合「レントゲンを撮っても異常なし」ということになってしまうのです。

このような原因が特定しきれない「非特異的腰痛」と呼ばれる腰痛の割合は、85%にも上るとも言われています。

しかし、実は、腰痛は「異常は見当たらない」と言うだけで、多くの場合、痛みの原因がなにか、医師には推測がついています。

それなのにはっきりとした診断を伝えられないのは、原因が推測はできても、証拠がないからです。医師は、原因がはっきりと見えないもの、数値的な変化がないものには、診断ができないのです。

では、腰痛の真の原因はどこにあるのでしょうか。

真の原因は「筋肉」にある

私は、腰痛のほとんどの原因は、筋肉のトラブルによるものではないかと考えています。具体的にはどのような問題を抱えているのか。大きくわけると2つあります。

①筋肉が炎症を起こしている
②筋肉が傷ついている

そして、この2つのいずれも、筋肉が硬くなることで起こるのです。

筋肉は何らかの形で過度に負担がかかると、筋肉を構成する筋繊維同士が「ギュッ!」とくっつくという性質があります。そして、この筋繊維が硬くなってギュッとくっついた状態になると、炎症が起きてしまうのです。また、このギュッと固まった状態の筋肉は、非常に傷つきやすい性質を持っています。