妊娠しない娘のために母親は宗教にすがっていた
父親は相変わらずギャンブルやアルコールに依存。外に働きに出るようになったとはいえ、母親は相変わらず山岳宗教に依存していた。稼いだお金も小栗さんが振り込んだお金も、父親はギャンブルやアルコールに使ってしまい、母親はお布施に使ってしまう。小栗さんの結婚後は専ら、なかなか妊娠しない娘のために母親は宗教にすがっていた。
小栗さんは不妊治療を経て、34歳の時に第1子を出産。両親はとても喜んでくれた。
ところが両親が70代になる頃、光熱費や納税の滞納が続き、ついに財産の差し押さえ通知が届く。
この頃、父親は軽い認知症と診断されていたが、時々常軌を逸した言動をする母親を、大酒を飲みながらも見守り、世話をしていたようだ。母親が「連れていけ!」と喚けば、酒を飲んでいる途中でも“教団”に送迎した。そのため、飲酒運転で捕まっては、同じ県内に住む兄が保護監督責任者として警察に呼び出されていた。
「兄が27歳のとき、職場の女性と交際していたのですが、母が兄の会社に乗り込んでいき、社長に向かって相手の女性がうちの息子をたぶらかしたとか、あることないことぶちまけ、相手の女性に無言電話をかけるなどの嫌がらせをしたそうです。会社まで付き添った父から聞きました。それ以降、兄は実家を避けていましたが、両親が70歳を過ぎた頃から頻繁に警察に呼び出されるようになったようです」
母親の常軌を逸した行動を父親が止めなかったという点にも闇を感じる。
母親は子供たちの交友関係にもうるさかった。「片親や士農工商の商売人、部落出身の子どもとは付き合うな。良い家柄の子と付き合いなさい」と時代錯誤も甚だしく人権意識のかけらもないことを口にした。
小栗さんは小学校6年生の頃、両思いになった男の子と親に内緒で映画に行ったことがあるが、近所の人に目撃され、ほどなくして母親の耳に入ると、気が狂ったように怒鳴り散らされた。それ以降、夫と出会うまで小栗さんに交際歴はない。
「4学年上の兄が母にされたことを見ているので、自分は母が反対しない人を見つけて結婚しようと思っていました」
小栗さんの夫は偶然にも小栗さんの遠い親戚同士が婚姻関係にあり、同レベルの家柄。その、小栗さんと同じ大学出身だったため、母親は少しも反対しなかったという。