オンラインゲームやSNSでは、自分の分身「アバター」を使うことになる。そのとき無料アバターを使う人は、有料アバターを使う人から下に見られることがある。大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒浩教授は「アバターは、お金のかけ方の差が、生身の人間以上にはっきりと出る。したがってアバターが経済格差解消に貢献するとは一概には言えない」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、石黒浩『アバターと共生する未来社会』(集英社)の一部を再編集したものです。

一人の少年がコンピューターの前に座っています
写真=iStock.com/mikkelwilliam
※写真はイメージです

ユーザーの分身として多様な見た目に変身できるアバター

最近では、アバターという言葉が当たり前に使われているが、アバターとは何なのか? 

アバターとは、ユーザー(操作者)の分身となるキャラクターのことだ。

インターネット上のサービスで稼働するアバターには、2次元の画像のアバターと3DCGで表現された立体的なアバターがあり、サービスによって使えるアバターの種類は決められていることが多い。

各サービスにおいて、ユーザーは自分が用いるアバターの外見をオリジナルで作れたり、いくつかの候補から選んで作ることができる。髪型や服装、性別や年齢層などをある程度は自由に設定できる。そしてそれは必ずしも利用者自身の姿を模したものとは限らない。リアルタッチの絵柄や3DCGのこともあれば、デフォルメされたイラスト調のものもある。男性が女性の姿のアバターを用いることやその逆、あるいは動物など人間以外の姿かたちを選ぶこともある。

こうしたアバターは従来、主にゲームやネット上のサービスで用いられてきた。それぞれのサービス内でアバターは自由に行動し、他者とコミュニケーションを取ったり、モノ(データ)の授受を行ったりすることもできる。近年ではアバターのビジネス活用も進んでいる――僕がこれから進めていくのは、その先の話だ。