アバターはメタバースよりも重要

おそらく多くの人が注目しているのは、アバターよりもメタバースのほうだろう。

2020年代に入り、メタバース上では何ができるのか、どんな経済効果があるのか、現実世界を代替するものになるのかといった話題がメディアを賑わせている。

「メタバースとは何か」の定義はさまざまだ。たとえば「3次元のインターネット」などと呼ばれている。ごく簡単に言えば人工的に作られた仮想空間であり、その中で人間同士がコミュニケーションを取り、ゲームなどのエンターテインメントを楽しみ、経済活動ができることが期待されている。

コンセプトのホログラムアバター
写真=iStock.com/gorodenkoff
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一方で、メタバース上で動き回る「アバター」については添え物くらいの扱いにしかされていない。

だが本当に重要なのはアバターのほうである。

もちろん、現実世界に生きるわれわれの顔や身体と違って、仮想空間上のアバターでは人々が自由に好きな造形を選べ、作れ、変えられることのすばらしさについては、しばしば語られている。

だがアバターの魅力や真の可能性は、それに留まるものではない。

アバターは間違いなく人々の働き方、生き方を大きく変え、社会の姿を変える。

あなたの人生を、より生きやすくすることにも貢献してくれる。

アバターは実世界にも進出してくる

これほどまでにメタバースに対する注目が高まっているのは、2020年からの新型コロナウイルス流行以降、リモートワークが一般化したことも無関係ではないだろう。

コロナ禍以前には対面で行っていた会議や打ち合わせはZoomなどのウェブ会議サービスを利用したものに切り替わり、在宅勤務でも特に支障なくできる仕事も少なくない。

アバターは、遠隔で行うことのできる仕事の幅をさらに広げ、効率化し、従来以上に細やかな個別対応も可能にする。だがメタバースは、人々がアバターを使って活躍できる場所のひとつにすぎない。アバターは、メタバースの中の世界を越えて、実世界のさまざまな場所に進出していく。