しかし、都市部と限界分譲地の地価は、もはやそんなギャップをカバーできないほど差が開いている。地主の多くが「安値」と考える価格の多くは、実は安値でも何でもない。条件の悪い土地は、価格がつくかどうかすら怪しい。
このどうにもならない認識の断絶こそまさに、旧分譲地の流通や再利用、集約化を阻んでいるのだと思う。
絶望的な供給過剰が続いている
限界分譲地には、すでに地主が売却を諦めているのか、草刈りなどの管理が一切なされず、売り物件として市場に出ない放棄区画も数多い。その是非は別として、土地の資産価値に対する認識としては、むしろ諦めて放置する地主の方が、ある意味では事態を冷静かつ的確に捉えているのではないかという気もしてくる。
住宅用地としての需要がすでに完全に失われているとなれば、残るは菜園用地や物置といった住宅の補助施設の用途や、別荘といった完全に道楽用途しかない。いずれも生活上必ずしも必要になるものとはいえず、大きな需要を呼び起こせるものではない。
成田空港周辺では数千区画におよぶ売地が今も市場に放出されている。これはもう絶望的なまでの過剰供給なのである。その現状を、未だに理解していない地主が多い。
個人が自分の資金で購入した私有地なのだから、あまり他者がとやかく口を挟む話でもないのかもしれないが、今後も誰も買わない価格で売りに出し続けても意味がない。売り手にとっても地域社会にとっても、もはや事態は何も改善しない以上、いつまでも自己責任の話として蓋をしていられる状況ではなくなっている。