②気づきを得る:ログとログの間につながりを見つける

次はログとログの間にあるつながりを見つけて、そこから「気づきを得る」というステップに進みます。

複数の情報があると、人は必ずそこになんらかのつながりを見つけます。点と点をつないで線にしたり意味づけしたりするのは、人の脳が高度に発達しているからです。

私はログ取りをするようになってから、次のような気づきを得ています。

【ログ取りで得た気づき】
・毎日できていることが少ないと思っていたが、意外といろいろ行動していた。
・午前中に仕事をしている日は、仕事の進みが速くてその分仕事量が多いが、午後から仕事をしている日は、仕事の進みが遅くて仕事量が少ない。
・朝に走った日は動きがスムーズになり、家事も早く終わっている。
・予定が3つ以上あった日の翌日は、エネルギーを多く使ったためか仕事がはかどらない。
・子どもの体調が悪い日は、手間がかからない鍋料理が多い。

気づきを得ただけで終わっていることもあれば、行動が変わっていることもあります。現時点では気づきで留まっているものも、これからデータが増えていけば、意味づけや行動の変化にまで至る可能性があります。

ログを取ることの効果は、ここにあります。普段、無意識で行っている行動やルーチン作業の中に一定の法則が見つかると、行動が変化することがあるのです。

気づきが得られないときは、そのままにしておくのもひとつの手です。そのまま置いておくと、ログは発酵します。

発酵とは、微生物が有機物を分解して別の物質に変化することを指します。特に気づきがなかったログでも、しばらく置いておくと、その間に自分の知識や体験が増え、次に見たときに違った気づきが得られることがあります。

③自分を知る:ログにある出来事の「感情」を掘り下げる

データが増えてきて、気づきも少しずつ得られるようになってきたら、今度は1つのログを掘り下げて、自分の受け止め方や反応から「自分を知る」フェーズに入っていきます。何かを体験したあとに、その出来事を掘り下げて、自分の内側をそっとのぞいてみるのです。

たとえばある日、職場で同僚が上司から怒られていたのを見たとします。そして、その日のあなたのログに、「同僚が上司から怒られていた」と書いてあったとします。

その出来事を書いたということは、あなたの内側に何か反応するものがあったということです。

反応としてわかりやすいのは、「感情」です。職場で同僚が怒られているのを見て、不愉快になる人もいれば、悲しくなる人もいます。人によっては、「自分に害が及ばずラッキー」と思う人もいるかもしれません。

あなたはどう感じたのでしょうか? 憤り? 恥? 不安? どういった感情が湧きましたか? その感情はなぜ湧いたと思いますか?

もう一歩踏み込んでみると、「上司は年長者なのだから正しい」という自分の価値観や、怒られているという事実から「同僚は悪いことをしたに違いない」と捉える考え方の癖が見えてくるかもしれません。

たった1つの出来事でも、それが起こったときの自分の感情を掘り下げていくと、そこには今まで認識していなかった価値観や考え方の癖を持った「自分」がいます。