※本稿は、尾石晴『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
社会を生き抜くためのリスキリング
最近は、大人の学びのキーワードとして、次の2つの言葉を見たり聞いたりする機会が増えてきました。
リカレント教育:学校教育から離れて社会に出たあとも、必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すこと
リスキリング:技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと
これからの社会を生き抜いていくにあたって「大人にも学びが必要」と認識されるようになり、行政や企業などさまざまな場所で取り上げられるようになった言葉です。
これには、雇用の流動性や終身雇用の崩壊、労働期間の延長など、さまざまな社会的背景があるのですが(国や会社では面倒見切れないから、自分の力で学んで生きていっておくれというメッセージ)、カタカナ用語でそのあたりのニュアンスがマスキングされ、見えなくなっています。
内包された「ネガティブな何か」を察知して、「これって本当に私のためになるの?」といぶかしんでいる人も多いように感じます。早晩やらねばならぬこととはいえ、自分事として腹落ちしていない人も多いのではないでしょうか。
人は誰しも「学び軸」を持っている
そんなとき、大人になってから何を学んだか、どうやって学んだかを棚卸しすると、「これから何を学べばいいか」を見つける大きなヒントになります。
なぜなら、その学びを選んで習得した背景に、何を自分にとっての学びにしてきたかという「学び軸」が必ず存在するからです。
学び軸とは、学びのサイクルを回し、私たちが人生を主体的に生きるために必要な武器を手に入れ、装備するための中心軸。
私たちは学び軸によって、自分の人生に必要な情報やスキル・能力などをその時々に応じて手に入れたり、入れ替えたりして生きています。人によって千差万別、みんな自分の学び軸を持っています。
学び軸は、次の2つの要素で構成されています。
【学び軸の構成要素】
感性:生まれながらにして持っている興味・関心
資質:生まれ持った特性や学ぶ力、価値観、動機