日本や世界がウクライナを支援し続けるべき理由

支援疲れはヨーロッパに留まらず、世界最大のウクライナ支援国であるアメリカでも不安視されている。今年7月のCNNの世論調査によれば、米国民の過半数が援助継続に反対しているという。

NATO事務総長らが言うように、もしもロシアが「武力による現状変更」の成功例を世界に示したら、続いて中国が台湾侵攻に踏み切る可能性がさらに高まる。そうなれば「台湾有事は日本有事」という言葉の通り、地理的にみて日本への影響は必至だ。

わが国のウクライナ支援額は76億ドルにもなるが、GDPに対する割合でみればそこまで多いとはいえない。中国の台湾侵攻を避けるためにも、欧米情勢が不穏な今、日本はこれまで以上にウクライナを支援すべきなのだろう。

昔から日本においては、再評価の行きすぎが指摘されるほどハプスブルク帝国は高い人気があり、当然の流れとしてハプスブルク家のファンも多い。侵攻が長引く中、日本でも支援疲れが懸念されるが、ハプスブルク家の末裔まつえいが盛んに言及しているからという程度の理由でもよいので、より多くの人にせめてウクライナへの関心を保ってもらいたい。

故オットー大公が1995年に残した言葉をもう一つだけ紹介して、この記事の締めくくりとする。

「ウクライナ人は長い間その独立のために戦ってきた。可能性があれば、彼らはいつでも独立を果たそうとしてきた。それは繰り返し阻止されてきた。彼らはロシア人が殺害した100万にものぼる犠牲者を悼まざるを得なかった。(中略)我々の課題は、このロシア帝国主義を阻止し、ウクライナが実際に独立できるように保証することである」
※関口宏道「オットー・フォン・ハプスブルクからオットー・フォン・ヨーロッパへ」(『松蔭大学紀要』第17巻、2014年)
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