まじめな人は自分の価値観を見失いやすい
また、フランスの列車的生き方のほうが柔軟性に富む、というプラス面もあります。
たしかにフランスの列車は不便な部分も多々ありますが、いい加減ゆえの便利さもあるのです。たとえば列車のドアが閉まりかけたときでも、「すみません! 開けてください!」と言うと運転手が開けてくれるなどします。走ってくる乗客を待ってから出発する場面にも何度もあいました。
さらに、柔軟性があると、不測の事態に速やかに対応できます。考えが硬直していないので、不測の事態にどう対処するか、その発想が豊かになるのです。
また、いい加減な人は他人のいい加減さも許せます。他人の間違いにも「まあ、いいか」と寛容になれるのです。
もちろん、私はまじめさを否定するつもりはありません。人が他者と共に生きていくうえで、まじめさは必要かつ重要な要素でしょう。
ただ、まじめさを隠れ蓑にして、自分をないがしろにしていないか、自分の価値観を見失っていないか、世間の価値観に縛られていないか、自分が本当にやりたいことを忘れていないかなどと、ときどき自問自答してみることが大事だと思っています。