「幸せな場所」を思い描くと、20分寝つきが早くなる

金色に輝く砂浜、日陰の川沿いの散歩道、透き通った水がはじける滝、色とりどりの花が咲き乱れる野原――。

オックスフォード大学の研究から、不眠症の人は「幸せな場所」や「リラックスできる景色」を思い描いたときのほうが、何も考えないようにしたり羊を数えたりしたときよりも、20分寝つきが早くなったことがわかりました。

羊を数えるのはわりと根気が必要で、面倒になるときもあります。そのため、不眠症の人が羊を数えても心配事から気をそらすことができません。

一方で、幸せな場所のイメージに没頭することは、楽しくて夢中になれるために、気がまぎれるのだと考えられています。

さらなる研究から、不眠症の人は、ぐっすり眠る人に比べて、眠ろうとするときに不快なイメージを想像する割合が高いことがわかりました。

自分にとって心地良い、ハッピーな景色や風景を思い浮かべるだけで、入眠には効果があるということです。

ベッドは「眠る場所」と体に覚えさせる

不眠を防ぐ方法のひとつが、「ベッド(眠る場所)」と「睡眠」の間に強い関連性を持たせることです。

「寝返りを打つばかりで眠れない」「目が覚めても、寝直すことができない」という場合、多くの専門家は、15~20分後にいったんベッドから出ることを推奨しています。

矛盾しているように聞こえますが、起き上がることで、「ベッド」と「目が覚めてイライラすること」の関連づけを断ち切るという理屈なのです。

ただし、ここで注意が必要です。15~20分の間、ベッドのなかで目が冴えていてもリラックスして落ち着いているときは、そのままの状態でいてください。これは、全く問題ありません。

一方で、そわそわしたり、不快感や不安を感じたときは、寝床から出ましょう。別室に行ってもいいですし、寝室の椅子などに座って、心が休まる音楽を聞いたり、暗めの照明をつけて本を読んだり(スリルを感じない内容)、ありきたりのことをしてください。ふたたび眠くなり始めたら、ゆっくり立ち上がってベッドに戻ります。

この一連の動きが、ベッドがそわそわする場所ではなく、眠る場所であるという意識を強化するのに役立ちます。

ベッドから出るほどではないなと感じる場合は、ベッドの上で身体を起こしたり、ベッドに腰かけて読書をしたり音楽を聞いてもOKです。眠くなってきたら、また横になりましょう。そうすれば、「ベッドに横になること」と「眠気」との関連を強化することができます。