カンタンな運動がきわめて重要なワケ

体を動かして筋肉が動くと、酸素や栄養がエネルギー源として消費されます。すると、体は不足するエネルギーを筋肉へ送るために心拍数を上げ、より多くの血液を送り出します。

このときに、筋肉から「ブラジキニン」という生理活性物質が放出され、その働きによって血管の内側の内皮細胞からNOが分泌されます。

内臓脂肪を落として血管のダメージを抑え、体を動かすことでNOをしっかりと分泌させることができれば、血管はいくつになっても、何歳からでも必ず若返ります。

体を動かすといっても、ハードな運動やトレーニングは必要ありません。

たとえば短時間正座をして、その後立ち上がるときのことを思い描いてみてください。このとき、いったん圧迫された血液の流れは、立ち上がることで再開しますが、その程度の刺激が、NOの分泌を促進するちょうどいい強度といわれます。

太陽を背景に走る人
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

筋肉を動かすと血流UP

また、筋肉を動かすこと自体が、ポンプのような働きをして体内の血流を高めます。

動いた筋肉に促されて動脈が広がり、手先・足先の末梢まっしょうの血液循環が改善され、静脈やリンパへの血流やリンパ液の流れも良くなります。

体を動かすことは、まさに一石二鳥、三鳥にも匹敵する効果が期待できるのです。

「血管若返り物質」を分泌するシステムを、自ら兼ね備えている私たちの体は、本当にすばらしい。それをどう生かすかは私たち次第。大事にしたいものです。

「ときめき」で血管は若返る

さらにもう1つ、NOの分泌を高め、血管の若返りを助けてくれるものがあります。それは「心のときめき」です。

連載第1回「老け顔の人はなぜ老け顔なのか…自律神経の名医が指摘『老けた人の体内で老化が進んでいる臓器の名前』」で、「見た目」の若返りには心の持ちようが大切、という話をしました。実際に、「ドキドキして心がときめき、その後、ほっと心を落ち着ける」という、この一連の心の動きが、「血管の若返り」にはとても有効です。