もし所得が増えても社会保険料負担は変わらない

もし、きっぱりと会社を辞めてⅩに専念した場合、事業所得150万円だと国民健康保険料は約19万円です(※5)。扶養配偶者が60歳未満の場合、1カ月あたり1万6520円(2023年度)の国民年金保険料支払いも発生します。年間19万8240円を上乗せすると約39万円となり、「ちょこっとサラリーマン」の約23万円と比べると、16万円も負担が増えてしまいます。

仮に、事業所得が300万円になった場合、国民健康保険料は約36万円(※5)、配偶者の国民年金保険料を合わせると約56万円もの負担になりますが、給与収入150万円の「ちょこっとサラリーマン」を続けていれば、社会保険料負担は約23万円のまま変わりません。

※5 被保険者2人として計算。自治体により異なる

リスクヘッジの視点からも有効な働き方

このように、「ちょこっとサラリーマン」を続けることにより、半額を会社に負担してもらいながら、健康保険に加入し続けることができます。厚生年金にも加入していますので、将来の年金を増やすことにもつながります。

リスクヘッジという視点からも「ちょこっとサラリーマン」という考え方は有効です。希望に満ちてⅩの世界に踏み出したとしても、必ず思うような成果が上がるとは限りません。数年間の辛抱の時期を「ちょこっとサラリーマン」が下支えしてくれることにより、焦らず継続することができます。

残念ながらⅩが思い描いたものと違ったとき、潔く方向転換を図れるのも「ちょこっとサラリーマン」というポジションがあればこそです。

60歳以降の働き方は、さまざまな責任を背負って駆け抜けてきた現役時代より、もっと自由に柔軟に考える余白が生まれてくるのではないでしょうか。制度をうまく活用して、自分らしい働き方を創り出してください。

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