高収入だった人は任意継続のほうが有利?

ただし、健康保険組合に加入している人は要注意です。2022年1月より、「退職時の標準報酬月額」に基づいて保険料を決めることが可能となりました。これまで「給与の高い人は国民健康保険より任意継続のほうが有利」と言われていましたが、必ずしもそうではなくなっています。すでに規約を変更したところも出てきていますので、健康保険組合に加入している人は必ず確認をしてください。

任意継続は最長2年間ですが、ごく稀に、74歳まで継続できる「特例退職被保険者制度」を持っている健康保険組合があります。特定健康保険組合といって、健康保険組合数1387(2021年度)のうち61組合(※1)程度で、大企業が中心となっています。特例退職被保険者になれるのは、「被保険者期間が20年以上ある」などの要件を満たす人です。健康保険組合に加入している人は、念のため確認をしてみてください。

※1:平成26年11月7日 第84回社会保障審議会医療保険部会資料1より

扶養家族がいる場合、国民健康保険は負担増かも

②の国民健康保険に加入するには、退職日の翌日から14日以内に、住所がある市区町村の窓口で手続きを行います。保険料の計算方法は自治体により異なりますが、「医療分保険料」「支援金分保険料(※2)」「介護分保険料(40~64歳のみ)」を合算するのが一般的です。そのほか、世帯ごとに定額でかかる平等割や、固定資産の価値に応じて計算される資産割を導入している自治体もあります。

国民健康保険には「扶養」という概念がないので、収入のない専業主婦や子どもなど、無職の人も被保険者として保険料を負担しなくてはなりません。「医療分」「支援金分」「介護分(40~64歳のみ)」それぞれに、所得に応じて負担する所得割額と、被保険者一人ひとりが均等に負担する均等割額とがかかります。

そのため、扶養家族がいると健康保険の任意継続のほうが安くなる可能性が高いです。また、退職前に被扶養者だった配偶者が60歳未満の場合、国民年金保険料を支払わなくてはなりません(後述)。このような条件も加味して比較をしてください。

※2:後期高齢者医療制度を支援する財源の一部となるもの