「赤ちゃんに話しかけているかのような心持ちで」
「愛語(親愛の情を起こさせる言葉)というのは、人でも動物でも、生きとし生けるものに対して慈しみの心を起こして、慈愛に満ちた言葉をかけることです。
決して荒々しい言葉を使ってはなりません。慈しみの念をもって、赤ちゃんに話しかけているかのような心持ちで話しかけるのです。
徳がある人には誉め、徳がない人には憐れんで戒めの言葉をかけなさい。
もしあなたが誰かに、面と向かって直接愛語を伝えたならば、その愛語を聞いた相手の顔はほころび、心も楽しくなるでしょう。
もしあなたが誰かのことを、面と向かわないで褒めたならば、人づてに、間接的にその話を聞いた彼、彼女は、『あの人がそんなふうに自分を褒めてくれたんだ』と、肝に銘じ、魂にジーンと深く刻み込まれるような感覚を覚えることでしょう。
よく知るべきです。愛語は愛心より起こり、愛心は慈悲心から生まれます。愛語には天を動かすほどの力があることを学ぶべきです。ただ相手の能力を褒めるだけが愛語ではないのです。」
この愛語こそ、上司が部下と接する際に基本としたい話し方です。
偉ぶったり、部下をおだてたりする必要はない
最後に、上司はどのような「体」でいればいいのでしょうか。
自然体です。
部下に威厳を示そうとして、偉ぶったり、威圧したり、カッコつけたりする必要はありません。逆に、好かれようとして下手に褒めたり、おだてたり、ご機嫌をとったりする必要はありません。
褒めるべきは褒め、戒めるべきは戒め、ダメなこと、間違っていることはキッパリと指摘する。
上司だからと言って完璧を装う必要はなく、むしろ、上司であっても、失敗したり、間違ったり、迷ったりすることが自然ですから、それを隠す必要もありません。
自然体であれば、上司自身のストレスが軽減しますし、部下もまた自然体でいられます。