箱根駅伝に出る大学生の“上下”を攻める戦略を展開
プーマジャパンは今夏、新潟・妙高に「PUMA RUNNING HOUSE MYOKO」を期間限定でオープンさせた。それも箱根駅伝での“シェア拡大”を見越してのプロジェクトだ。
2階建てペンションを大胆にリノベーションし、オシャレなカフェラウンジのような空間をつくった。水素吸入ができるカウンターバー、サウナ&水風呂、高気圧酸素ルームなどを置き、プーマの最新ランニングシューズの試し履きも可能だ。
一般開放はしていないが、事前に案内をしているチームの選手や指導者は無料で使用できる。近隣には駒澤大、青山学院大など駅伝強豪校が例年、夏合宿を実施している。現時点でプーマと接点のある大学は少ないが、他メーカーからプーマに履き替える選手が出てくる可能性はある。
ただ、箱根駅伝に出場している大学にはすでにスポーツメーカーがサプライヤー契約しており、その牙城を崩すのは簡単ではない。そこで、プーマは“上下”から攻める戦略を展開している。
「箱根駅伝を目指す大学生だけでなくて、その下の世代の高校生へのアプローチを強めています。例えば、福岡の強豪である大牟田高校はプーマのウエアを着用して、シューズも何人かに履いてもらっています。箱根を目指す選手にまずはプーマを経験してもらって、彼らが大学生になったときにプーマを着用するようなプラットフォームをしっかり作っていきたい。そんなストーリーを考えています」
順調にいけば、12月の全国高校駅伝ではプーマのロゴがたくさん見られるだろう。高校だけでなく、実業団チームへのアプローチも積極的だ。長くナイキを履いてきた設楽悠太と村山謙太は現在、プーマを着用。国内トップ選手の“履き替え”も成功させている。
「設楽選手が加入した西鉄もプーマのウエアを着用してレースに参加していただくことが決まっています。他にもプーマのウエアを着てニューイヤー駅伝を目指すチームがありますし、女子駅伝の超強豪チームも今冬はプーマを着用する予定です。箱根駅伝を目指す高校生世代、それから箱根駅伝の選手たちが憧れる実業団世代。上下から箱根駅伝をしっかり囲い込んでいくような取り組みをやっております。次のフェーズはブランド力をさらに高めていくこと。知っているブランドから、好きなブランドへ。すべてのレベルのランナーの『速くなりたい!』という願いをかなえたいと思っています」
今年、創設75周年を迎えたプーマ。萩尾社長のもとジャパンから世界の厚底シューズの勢力図を塗り変えていくことができるか、注目したい。