全てカネで解決するのが「岸田流」

そんな「蛮勇」を糊塗ことするためか、「風評被害対策」に政府がカネを出すのだという。800億円の基金を活用して、漁業者の支援に資金拠出するというのだ。中国向け水産物輸出額は871億円なので、それを穴埋めできる金額だ。しかも、中国の輸入停止で損害が出た場合、東京電力が「必要かつ合理的な範囲で賠償する」という。売れなくなったものを政府の資金拠出で補うというのである。損が出ないのだから文句は言えないだろう、というところだろうか。

水産物の価格下落を防ごうとして財政を使う一方、物価上昇に対しても補助金を使っている。ガソリンや電気・ガス代金の価格抑制に動いているのだ。防衛費の増額では本来、増税で賄うのが筋だが、それでは国民は生活が苦しくなる国民は納得しない。ならば、財政支出で物価上昇を抑えて国民の生活を助けましょうと全てカネで解決するというのが、どうやら「岸田流」なのだ。国民の理解が得られにくい「蛮勇」のツケを財政支出というカネの力で賄っていると言っていい。

政府が価格をコントロールしようと市場に対峙たいじしても、市場の力に抗うことは難しい。財政支出する財源は無限ではないから、いずれ国家が市場の力に敗北する。日銀が日本円を刷りまくって国債を買えば、財政破綻はしないという理屈を信奉する政治家も自民党内には少なからずいるが、円の総量が増えれば円の価値は下落していく。そうなると、輸入品の物価上昇は止まらない。漁業者を守ろうとしても、漁に出る船の燃料代が賄えなくなるだろう。

デジタルで表示された財務グラフの上に円記号のオブジェが転がる
写真=iStock.com/MicroStockHub
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科学的な数値の開示を続けることで理解を得る他ない

そんな価格コントロールをいつまでも続けられるのだろうか。処理水の放出は30年以上かかる。その間、漁業者に補助金を出し続けるのか。それとも数年もすれば処理水放出に国民が慣れて、福島産の水産物も元のように売れるようになると考えているのだろうか。

もちろん、処理水の放出以外に問題を処理する方法がない、という現実もある。トリチウムを取り除く技術は十分に確立されていないからだ。だとすると、トリチウムが残った処理水を放出することの安全性を徹底的に説明し、国内外の人々に理解を深めてもらう他ない。取った魚にトリチウムが残留していないか、科学的な分析を進めて、情報を徹底的に開示していくしかないだろう。

その際、「問題ない」ことを証明するために調査すると、検査にバイアスがかかったり、数字に恣意性が働いたりする可能性がある。万が一にも調査で不正などが発覚すれば、それこそ信頼は地に落ちる。純粋に科学的に数値を開示し、国民の安心を勝ち取っていくしか方法はない。

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