プレジデントオンライン編集部では、9月26日にくふうカンパニー代表の穐田誉輝さんとノンフィクション作家・野地秩嘉さんの公開インタビューを実施します。テーマは「人材登用」。これはPRESIDENT創刊60周年記念フォーラム「未来創造フェスティバル」のプログラムのひとつで、参加費は無料です。イベント開催を前に、野地秩嘉さんの特別寄稿をお届けします――。
くふうカンパニー代表の穐田誉輝さん
撮影=西田香織
くふうカンパニー代表の穐田誉輝さん

経営者「穐田誉輝」とは何者か

穐田誉輝は投資家であり経営者だ。青山学院大学を出た後、日本合同ファイナンス(現ジャフコ)に入社し、1996年に中古車買い取り専門のジャックに移る。ジャックでインターネットのビジネスを始め、同社を店頭公開に導いた。

公開で得た資金で投資会社アイシーピーを設立。アイシーピーは価格比較サイトの価格.com(カカクコム)に投資。穐田は社長としてカカクコムを成長させ、これもまた店頭公開に導いた。そして、社長をしている間に食べログというグルメサイトも作っている。その後、クックパッドの社長を経て、現在は、上場企業くふうカンパニーの代表を務めている。

わたしは12月にプレジデント社から穐田誉輝とくふうカンパニーについての本を出版する。この場合、「上梓する」という表現を使う中高年ライターがいる。AIもまたその表現を使いそうな気がする。

けれど、どうなんだろう。「上梓」って読者が理解する言葉なのかな? それに、本を出すだけのことなのに、自分から「上梓する」って……。ためらいはないのかな。気張っていて、偉そうで、気取りまくっているように聞こえるのでは。

わたし自身は「上梓する」は使いたくない。

でも、まあ、いいか。細かいことだし。

起業したのは、妹のためだった

さて、その本のために1年以上も彼と彼の仲間たちを取材した。

彼は「経営者になった理由」について、「妹が障害を持っていたから」と言った。「親が亡くなった後、サラリーマンの給料では妹の面倒を見られない」から、金を稼ぐことを決めた。それが起業の動機だ。そこらへんの起業家とは覚悟が違う。

高校生の頃から経営者になるための計画を練り、その道を進んだ。大学を出てベンチャーキャピタルに入ったのは投資と経営を学ぶためだ。一生、日本合同ファイナンスに勤めて、そこで出世しようと思ったわけではない。

3年後の1996年にジャックに転職して中古車の流通にインターネットを導入した。引き取ってきた中古車の写真をサイトに載せ、仕入れたいと思う中古車販売店の人が閲覧できるようなシステムを作った。単純なシステムだったけれど、それをやったことでジャックは「ネット企業」と評価され、店頭公開できた。

大切なのは彼が誰よりも早くインターネットをビジネスに持ち込んで、利益を上げたことだ。

1996年はウィンドウズ95が出た翌年だ。今も続くIT企業のなかで、その時点からインターネットを事業にしていたのはごく少数しかいない。

2023年9月25日(月)~26日(火)に東京国際フォーラムにて「未来創造フェスティバル」を開催

いつもビジネスリーダーのために──。PRESIDENTが創刊以来、大切にしている理念です。変化がめまぐるしい今、昨日までの自分に甘んじず、成長し続ける人こそが、真のリーダーであり、「未来を創る」ことができます。そこで今回、PRESIDENTは創刊60周年を記念し、支えてくださる皆さまに新たな羅針盤をお届けするべく、2023年9月25日(月)~26日(火)に東京国際フォーラムにて「未来創造フェスティバル」を開催いたします。各界を代表する方々による生の熱い講演をお楽しみください!

▼参加費無料▼