※本稿は、和田秀樹『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)の一部を再編集したものです。
40歳以上はうつ病に注意
日本人の1割から2割ほどが、病気というほどではない程度のうつ状態と言われています。
厚生労働省は「18歳未満のうつ病の人にはなるべく薬を使わないように」という方針を示し、日本うつ病学会も「25歳までの患者さんはカウンセリングで治すように」と言っています。
ところが、各種の統計をとってみると、40歳を超えると薬のメリットがうつ病の薬の副作用を上回ると考えられています。
うつ病の薬にはいろいろなものがありますが、基本的には脳内の神経伝達物質・セロトニンを増やす働きをします。
つまり、歳をとってセロトニンが減り、その結果、うつ病になったと考えられるわけです。
うつ病の脳ではセロトニンが不足
セロトニンは、ストレスによるイライラを抑えて、心身の安定や心の安らぎなどにも関与することから、「幸せホルモン」とも呼ばれている脳内物質です。
精神病(うつ病と統合失調症の2種類を言います)が神経症と大きく異なる点として、「他人から見れば何の原因もない(ように見える)のに患(わずら)う場合がある」があります。
うつ病というと、親が死んだとか失恋したとか、失業のショックなどが原因で罹る病気だと思われています。たしかに、そういった原因で罹る人もいます。
しかし、原因がないのに、うつ病になる人もいます。脳内の神経伝達物質に何らかの異常が起こっているからであり、やはりセロトニン不足と考えられます。
つまり、「原因」か「結果」かは解明されていませんが、うつ病の脳ではセロトニンが不足しており、脳内のセロトニン量が増えれば、うつ病は改善されるということです。
なお、セロトニンは、肉を食べてタンパク質をとったり、太陽の光を浴びたり、運動することによって増加します。