「じじばばがいるときは特別」という認識を共有

重要なのは保護者の間で役割が認識されていることです。

「うちは普段こういうルールでやっているけど、じじばばがいるときは特別だよね」というような話がされていることです。たとえば、普段はジュースは1日1杯って決めているが、おばあちゃんが来て子どもたちの面倒を見てくれているときは、2杯、3杯になってもいい。そう思えればストレスがないですし、子どもも混乱しません。

これが大事です。おばあちゃんはそういう役割として、バランスを取ってくれます。

ときどき甘やかされるくらいは、まったく問題になりません。ルールがあるならそれを共有しつつ、例外を作ればいいでしょう。

ある程度しなやかに考えることは大事です。方針をガチガチに決めてしまうと、親も子どもも息苦しくなります。

出口保行『犯罪心理学者は見た危ない子育て』(SB新書)
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保護者間で話すことなく、心の中で「まったく、うちのルールを無視して甘やかすんだから!」と思っているだけなのはよくありません。子育ての方針がバラバラな状態で、人によって言うことが違うと子どもは混乱します。

親子間でも、夫婦間でも、「言わずもがな」ではないのです。伝えないで「なんでそんなこともわからないのか」と思ってストレスをためるより、伝えて話し合わなければなりません。

もし、パートナーや祖父母が甘やかすのが困ると思っていたら、「私はこういう方針でやっていきたいと思っている」と伝えましょう。そのうえで、なるべくバランスを取るにはどうしたらいいか話し合うことです。それさえできれば、そろって甘い、そろって厳しいよりはるかにいいはずです。

下の子をつい甘やかしてしまう

ここまで、甘やかし型に偏る危険についてお話ししてきましたが、それでも「ついつい甘やかしてしまうんです」という人はいるでしょう。

子どもに愛情を持っていればこそ、つい甘やかしてしまうことはあります。親の都合の「甘やかし」は全部ダメだというわけではありません。あくまでも程度問題です。

事例のように過度に甘やかし型に偏っていると危険ですが、ほとんどの親は多かれ少なかれ子どもを甘やかすことがあるものです。

とくに、きょうだいの中では下の子を甘やかしがちだとよく聞きます。第1子は親にとって初めての子育てで緊張感があり、責任を持って指導しなければという思いが強いのでしょう。世間でよいと言われている子育て法を学んで、その通りに実践したり、子どもに対しても規制を増やしたりします。

対して、第2子以降は緊張感が緩みます。経験から自信がついているので、自然なことです。「このくらいなら大丈夫」という感覚があるのです。

ですから、ほとんどの親は「下の子を甘やかしてしまう」と思っていますが、それは普通のことです。なるべく平等にしたいという思いがあるから、自分で「つい下の子を甘やかす」ことが気になるのでしょう。そういう意識があることが大事です。

父親が息子の頭をなでて、息子は母親とハイファイブ
写真=iStock.com/takasuu
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