林外相は「日本は対中投資を続ける」と約束
だからこそと言うべきか、習近平政権は訪中した林外相を「歓待」したように見せかけた。習側近ナンバーワンの李強首相、さらに外交トップの王毅党中央政治局委員及び秦剛外相と相次いで会談をセットした。李首相以下、フルメンバーが親しげに林外相と顔を合わせた。李首相は笑顔で「より高いレベルの互恵関係」を持ちかけた。
繰り返すが、林外相はこの呼びかけに対し「日本は脱中国化というやり方をとることはない」と応じたと、中国外務省は政府直営の新華社に流させた。
邦人が理不尽にも拘束されようが、投資リスクが高かろうと、日本は対中投資を続けると林外相が約束したと宣伝したのだ。林外相はいくらなめられても北京にゴマをするのか。
チャイナマネーは1年間で1200兆円増加
中国資本による日本買いはかなり前から盛んになった北海道にとどまらない。中国人女性が沖縄本島北方の無人島、屋那覇島を3億5000万円で買ったという。一事が万事だ。背景には急速なチャイナマネーの膨張がある。
中国の現預金(金融用語のマネーストックM2)の総量を日本円に換算してみると、2022年12月末で5055兆円に上り、日本の1212兆円を圧倒する。前年同期比増加額は2022年12月で752兆円(日本の場合は34兆円)で、6月から10月までは1200兆円前後(同40兆円弱)で膨らんできた。日本の最近の現預金残高は1210兆円前後だから、チャイナマネーは1年間で日本の総量相当分、膨らんでいるわけだ。
中国の人口は日本の10倍に上る。現預金国民ひとり当たり平均は日本が上になるが、中国の場合、富の偏在が甚だしい。豊かな層が人口の10%だとしても、その数は日本の全人口を超える。東京都心で建設中の超高級マンションは広さ80平方メートル級で3億円近いが、こともなげに現金で購入を申し込むのは、中国の中間層の上程度の人たちだと聞く。