モチベーションを下げてしまう質問

②上司が期待するあるべき姿(正解)に導こうと誘導尋問をすると、ありたい姿は引き出されない

上司がメンバーをあるべき姿に誘導するのは、ティーチング的アプローチと言えます。上司としては、会社の方針に従うため、またメンバーを失敗させないための使命感や愛情からかと思います。

上司の誘導尋問でメンバーが答えたものは、世間的には正解であっても、メンバーの価値観から出たありたい姿とは異なります。ゆえにモチベーションは湧きません。さらに、正解を「言わされた」となると、メンバーは良い気持ちはせず、やらされ感や反発心が生まれることもあります。

1on1ミーティングの目的である「メンバーが自身のありたい姿に自律的に成長するのを支援する」関わりとは異なることになります。「それではメンバーが勝手なことばかり言ったらどうするんですか?」と怒られるかもしれませんが、1on1ミーティングで話す内容は「メンバー本人にとって重要なこと(含プライベート)、感情、価値観、本質的な気づき、ありたい姿などについて」であり、基本的に緊急対応やリスクの高い案件などではありません。

一般的な面談で話題になる「主に目標達成や問題解決の方法、日々の仕事の進捗や緊急対応など」とは異なりますので、1on1の場ではメンバーの本心を大いに話してもらって問題ないのです。メンバーが自ら気づいたアクションプランを実行した結果、うまくいってもいかなくても、それについて次回の1on1で深掘りし、学びや気づきを深めながら真にありたい姿に近づいていきます。

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写真=iStock.com/ilkercelik
※写真はイメージです

上司は一生懸命になってはいけない

③上司がメンバーの悩みを解決しようとして情報収集や仮説検証の質問をすると、ありたい姿は引き出されない

上司が解決しようとしていますので、コンサルティング的アプローチと言えます。なお、仮説検証の質問とは、「結局、こういうことが問題なんじゃない?」のように上司が正解と思っている答えを確認する質問です。

メンバーは情報収集ばかりされると、尋問されているような気持ちになりかねません。また、上司の力で素晴らしい解決策を出したとしても、メンバーの価値観に基づいたありたい姿ではありませんので、メンバーが自ら動きたいとはならないのです。

そして、上司が解決に一生懸命ですと、メンバーに当事者意識がなくなり、依存心が出てくる可能性もあります。