ルールは徹底しつつ、例外には柔軟に対応すればいい
日本が世界から優秀な人材を集めるのに二重国籍が必要かといえば、決してそうではない。永住権で十分だ。一時的に日本代表になってもらったり企業で働いてもらうために、韓国人のスポーツ選手や技術者に、韓国に忠誠を誓ったまま、一生使える日本国籍をプレゼントする必要などない。韓国では国籍取得のときに、かなり丁寧な忠誠宣言を強いているのだから馬鹿げた話だ。外国人に日本に来てもらうためには、重国籍を認める前にいくらでもすることがある。
外国に帰化した人の日本国籍剝奪は徹底すべきだし、国籍選択しないまま放置すれば、国籍は失うということでいい。日本国籍を選択したのにもうひとつの国籍を離脱しない場合には、国籍選択を取り消せばいい。現在の正直者が馬鹿を見る状況は正義に反する。
一方で、ブラジルやアルゼンチンのように相手国が国籍離脱を認めない場合は、一定の条件で例外を認めるとか、離脱のために面倒な手続きが必要であれば、政府として手続き面や費用面で援助する仕組みをつくるべきだ。
いったん外国に帰化したり、国籍選択をしないまま外国籍となった日本人が、事情があって日本国籍への復帰を希望する場合には、無条件ではないにしろ、あまり負担がかからずに認められる仕組みを用意すればいい。
政治家や国家公務員は二重国籍禁止にすべき
政治家や国家公務員については、二重国籍の人は排除すべきだ。少なくとも、立候補時や採用時に隠していたら、当選や採用を無効にすべきだ。
また、合法的な二重国籍者でも旅券の二重発行は制限すべきで、日本旅券を発行するときは外国旅券を預かるか、海外へ行くときは両方を持つことを義務づけ、帰国時にはそれをチェックするといったこともテロ対策上は必要だ。
ここまで、二重国籍に反対する理由を説明してきたが、もし「日本は二重国籍を認めてもいいか」と尋ねたら、賛成する人も多いだろう。その理由のひとつは、韓国・朝鮮や台湾、中国などの国籍を持ち、「心は韓国(台湾、中国……)人で現在の国籍は保持したいが、日本人としての権利は享受したい」という人を応援したい人がいるからだ。
しかし、それ以上に重要なのは、米国など生まれで外国籍を持っていたり、新たに外国籍を取得したのにそれを隠している人たちの存在だ。