初月の売り上げ実績は5枚のみ

満を持して通信販売を開始。しかし、残念ながら初月は5枚しか売れなかった。

その頃、中川さんの取り組みや働きかけとは別に、女優や女性声優がふんどしを愛用していると公言したり、医師がふんどしの健康効果を語ったりする現象が起こり出した。

追い風と感じた中川さんは、ふんどしを愛用し、普及に貢献した著名人に「ベストフンドシスト賞」を授与するイベントを2月14日に開催。メディアを使って一気に攻勢に出た。

「チョコを贈るのじゃなくて、何でふんどしを贈るのとなりますよね。前年に震災があり、国内の空気は沈んでいましたし、ふんどしの話で笑顔になりコミュニケーションが取りやすくなれば、それは意義のあることなんじゃないかなと思いました」

「一般社団法人日本ふんどし協会」の会長を務める中川ケイジさん
撮影=渡邉茂樹

コロナ禍で抱えた2000万円の借金

次第に「sharefun」は、リラックスウエアとして女性から支持されるようになった。売り上げ全体の7割を、女性の利用者が占めた。しかし、浮き沈みが激しく、年商は700万円から2500万円の間をいったりきたり。

しかもタイミングが悪く、新型コロナウイルスの感染拡大に備え緊急事態宣言が発出。製造工場の稼働が止まり、ヨーロッパから生地の輸入が途絶えた。気が付くと、借金が2000万円に膨らんでいた。さすがに心が折れそうになった。

「そうしたなか、これまで二度の震災を経験し、仕事がうまくいかずうつになり、その一番辛い時期に『ぐっすり眠る』という価値に救われたことを思い出しました。そして、『自分をいたわる時間を創るお手伝いをする』という、真に自分がやりたかったことに立ち返ることができたのです」