2023年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第5位は――。(初公開日:2023年4月2日)
長寿の人の食習慣とはどのようなものか。医師の和田秀樹さんは「60代半ば以降、健康を維持するための食生活の基本は、肉でも魚でも野菜でも偏らないで何でも食べることだ。食材のバラエティ豊富なコンビニ弁当は考えようによっては『長寿食』になる」という――。
※本稿は、和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「フランス人だけが心臓病が少ない」という謎
「フレンチ・パラドックス」という言葉を、ご存じの方も多いと思います。
いまから30年ほど前、1990年代前半に流行った言葉です。
「フレンチ・パラドックス」は、そのまま訳せば「フランス人の逆説・背理・謎」といったような意味になります。
では、「フレンチ・パラドックス」とは、どういう逆説なのでしょうか?
フランス人は、肉やバターの消費量が、世界でもトップレベルで多い国民です。それだけ、アメリカ人、ドイツ人、イギリス人に比べて、カロリーが高い食生活をしていることになります。
カロリーが高い食生活を続けていると、心筋梗塞のような心臓病のリスクも、それだけ高くなります。
ただ、ここに「パラドックス=逆説」が生じたのです。
フランス人の心臓病の死亡率は、アメリカ人、ドイツ人、イギリス人に比べて、はるかに低いというデータがあるのです。心臓病のリスクが高い食事をしているのに、実際のリスクは減っている。
この逆説が「フレンチ・パラドックス」です。
ただ、その後、フランスだけでなく、フランスの近隣諸国であるイタリア、スペイン、ポルトガルといった国でも、心筋梗塞の死亡率がほかのヨーロッパ諸国に比べてはるかに低く、半分以下であることがわかってきました。