手作り弁当にない「食材のバラエティさ」に注目

コンビニ弁当も、考えようによっては「長寿食」になることもあります。

こんなことを書くと、驚かれる人も多いでしょう。

コンビニエンスストアで売っているコンビニ弁当は、食品添加物を使っているイメージが強いためか、何かと批判されることが多いからです。

また、コンビニ弁当が、手作り弁当のようにあっさりした味付けではなく、濃い味付けが多いのも気にする人は多いようです。

いずれにせよ、コンビニエンスストアの方には失礼な話かもしれませんが、ふだんコンビニ弁当を食べている人でも、「体にいい」と考えて食べている人は少数派なのではないでしょうか。

ただ、前項でご紹介した柴田先生は、コンビニ弁当について、独自の見解をお持ちです。実際、次のような面白いことを仰っています。

「家庭で作る弁当に、あれだけの材料を使えますか?」

たしかに、言われてみれば、そうです。

コンビニ弁当なら、どんな種類の弁当であれ、少しずつ、たくさんの種類の材料が使われています。たとえ、それぞれの量は少なくとも、いろいろなつけ合わせが弁当箱に収まっています。

幕の内弁当のように、おかずが多い弁当であれば、20~30種類くらいの材料は使っているのではないでしょうか。手作り弁当では、あそこまでたくさんの種類の材料を使うことなど、とてもできることではありません。

「昼食にコンビニ弁当を食べる」目からウロコの効能

もちろん、手作り弁当には、コンビニ弁当にはない長所がたくさんあります。

家族の健康を考えて、調味料を工夫したり、量を加減したりするといった、神経の細やかさは、手作り弁当ならではのものです。

また、手作り弁当特有の愛情・温もりといったものも、コンビニ弁当では再現できません。ただ、「食材のバラエティさ」という面だけは、どうしてもコンビニ弁当に軍配が上がります。

ここにこそ、コンビニ弁当が「長寿食」になる理由があるのです。

コンビニ弁当は、さまざまな材料を使っているので、微量物質の不足を補うことができるからです。

1日に三度、しかも毎日、コンビニ弁当を食べるのでしたらともかく、たまに食べるぶんには、体にいいとさえ言えます。

和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)
和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)

「偏らない。何でも食べる」――。

これこそが、長寿の人の食生活(長寿食)に共通する「一つの法則」です。その意味では、コンビニ弁当も、食べようによっては「長寿食」になり得ます。

ですから、「昼食にコンビニ弁当を食べる」ぐらいのことを罪悪視する必要はありません。コンビニ弁当に使われている、わずかな量の食品添加物を気にするのではなく、むしろ「これで不足の栄養分も足りた」と思えばいいのです。

何ごとも必要以上に「悪者扱い」するのは、いいことではありません。

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