健康長寿のためには、なにを食べればいいのか。京都大学名誉教授の家森幸男さんは「大豆がいい。世界の長寿地域では、共通して大豆を上手に食べる習慣がある。大豆に含まれるイソフラボンには、脳卒中や心筋梗塞のリスクを低下させる効果が期待できる」という――。(第2回)

※本稿は、家森幸男『80代現役医師夫婦の賢食術』(文春新書)の一部を抜粋、再編集したものです。

大豆、豆乳、豆腐を木の背景に付した大豆製品
写真=iStock.com/SherSor
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中国の長寿地域と短命地域

長寿・短命地域の調査を1985年に始めた時、私たちが注目した地域のひとつに中国がありました。ご存じの通り、中国は広大な領土を持ち、地域によって食文化が大きく異なります。中国の様々な地域の、食と健康の関係を調べてみたいと思い、食文化の大きく違う5つの地域の健診計画をたてました。

都市部の北京、農村部の石家荘(河北省)、東部の都市・上海、「食は広州にあり」と言われる広州(広東省)、高地のラサ(チベット自治区)の5か所です。それぞれの地区で24時間尿から食べている栄養を探り、血圧や血液の検査をして、食と健康の関係を調べましたが、非常に対照的だったのが「広州」と「ラサ」でした。

広州は、食塩摂取量が1日平均で5グラム未満と、世界でも最低レベルで、高血圧の方もほとんどいませんでした。これは「食は広州にあり」と言われるだけあって、新鮮な食材に恵まれ、保存食をほとんど食べないという食文化が理由だと思われます。一方、ラサは、海抜3700メートルという高地で、野菜や果物はほとんど採れません。そして日常的に塩茶やバター茶を飲み、保存食である塩漬けのヤクの肉を食べます。

24時間尿から1日平均16グラムもの塩分を摂っていると分かり、これは世界最高レベルでした。「塩」と「脂」の過剰摂取が短命食の特徴なのですが、まさにそういった食生活で、しかも、塩の害を打ち消すカリウムを含む野菜や果物はほとんどなく、長寿のキモである魚介類も、先祖を水葬してきたので決して食べないというのです。