「国際的ローカル」を切り拓いた3組

国内でいえば、ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)の存在が見逃せない。AKBにある「やらされている感」がなく、メンバーの個性を全面に出しながら、体育会系のノリで「一生懸命」を表に出している点で成功している。ファンはあたかも同じ学校の女子部活動を応援しているかのような雰囲気であり、「自覚的アイドル」の雰囲気が強い。

その一方、別の流れの中で、世界で活躍するグループも現れた。特に目立ったのは中田ヤスタカ氏がプロデュースするPerfumeときゃりーぱみゅぱみゅ、BABYMETALである。

三者に共通するのは、それぞれテクノ系、原宿系、メタルという音楽的には「ローカル」の場にありながら、そのローカルが国境をまたいでいることだ。

ただし、違いもある。Perfumeときゃりーぱみゅぱみゅの土台が日本のテクノカルチャーやポップカルチャーであるのに対して、BABYMETALはメタルという純粋な国際的な領域が活躍の場であったことだ。

その裏には、メタルを熟知する仕掛け人と、国際水準のプレーヤーが、BABYMETALを全面的にバックアップしており、歌唱力のあるボーカルと、アイドルとしての弾力性があるダンサーによって、一定のレベル(=お金を払った客をライブで楽しませるレベル)のパフォーマンス力を持っている点が大きい(ダイヤモンド・オンライン「日本人9人組『NiziU』が大ブレイク、韓国が世界的アイドルを生み出す理由」を参照)。

自由奔放で「やらされている感」がない

BABYMETALのメンバーはもともとアイドル志望であり、ファンの中心はメタル愛好家の「おやじ世代」だった。人気メンバーだったYUIMETAL(水野由結)が2018年に脱退したことで、BABYMETALに内在していた「やらされている感」がぬぐえなくなってしまった。

ただ、PerfumeやBABYMETALなどが切り拓いた「国際的ローカルアイドル」というあり方は、日本人がK-POPとは違うやり方でも国際マーケットに進出できることを証明した。

新しい学校のリーダーズは学校の制服を着て、学校の上履きを履いている。格好はまさに一昔前、あるいは地方の学生であり、その雰囲気はももクロが持っている「部活のノリ」の延長にある。ただし、基礎がしっかりした質の高いダンスパフォーマンスを見せており、プロとしてのエンターテインメントを成立させている。

特に、リードボーカルを担当するSUZUKAのお調子者の男子学生のような自由奔放な振る舞いは、「やらされている感」がほとんどなく、アイドルであることを楽しんでいるという「自覚的アイドル」の印象を与える。

新しい学校のリーダーズは一見、アイドルグループに見えないという人もいるかもしれないが、それはまさにこの「やらされている感」の希薄がもたらしたもの。それはブラックピンクをはじめとするK-POPがモー娘を出発点にしながら、「完璧」を目指すゆえにアイドルに見えないことに似たところがある。