「和製K-POP」の人気が伸び悩んだ理由

日本では若者層を中心にK-POPが人気を博しているが、K-POPのガールズグループは常に質の高いパフォーマンスとともに、「よい子」を演じなければならない立場にあり、自覚的アイドルとは対極的だ。

また、「和製K-POP」と言うべきNiziUはオーディションの段階から露出が多く、抜群の知名度を与えられながら比較的早くに伸び悩んでしまった裏には、NiziUがK-POPのトップレベルとは隔たりがあったこととともに(この点についてはダイヤモンド・オンライン「『NiziU』が早くも試練、人気復活に必要な戦略とは」を参照)、日本の若いファンがすでに「やらされている感」の強いK-POPに飽き始めている可能性がある。

こういった流れの中で突如として人気を獲得したのが、新しい学校のリーダーズだった。時期はちょうどアニメ『推しの子』が世界的に人気になり、テーマ曲であるYOASOBIの『アイドル』が世界的にヒットしたときと重なる。まさに日本文化に根ざした「アイドル」という存在が世界的に注目されているようになった時期なのである。

新しい学校のリーダーズはメンバー4人の個性がはっきりしていながら、シンクロ率の高いダンスパフォーマンスを見せ、エンターテインメント性も高い。ももクロの「自覚性」とBABYMETALのエンターテインメント性の高さの両方の流れをくんでいるのではないだろうか。

売れる共通点は、中高年層にとっての「エモい」

彼女たちが外国で先行して火がついたのは、「学校」という異文化を前面に出したことで、「日本」を感じられたからだろう。その点では、原宿ポップカルチャーを前面に出したきゃりーぱみゅぱみゅとも共通するが、きゃりーぱみゅぱみゅの持つkawaiiではなく、男性的なCOOL JAPANがある。平たく言うと「かっこいい」だ。

これは「オトナブルー」という楽曲が、「少女が背伸びして大人ぶる」という古典的な歌詞と昭和サウンドを基調としながら、スカートもまくり上げる男性的なパフォーマンスで彩られていることも影響しているのだろう。

なお、Perfume、BABYMETAL、新しい学校のリーダーズには共通点がある。それはPerfumeがテクノ、BABYMETALがメタル、新しい学校のリーダーズが「(昔の)学校」と、それぞれがおやじたちのノスタルジーを呼び起こす要素を含んでいることだ。「オトナブルー」のスマッシュヒットも、ノスタルジーを感じた中高年層に受けたという面も小さくないだろう。

現在のアイドル市場を支えているのは中高年であり、日本においてアイドルが成功するには中高年層を引きつけるものが必要になっている。三者はその点で強みがある。

アイドルグループも徐々に「自覚的アイドル」に時代に入りつつあり、「未成熟の一生懸命」を超えたエンターテインメント性の高さを求められるようになっている。新しい学校のリーダーズの活躍は、その時代の幕開けにふさわしい。

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