カメラマンという「別世界の男性」が新鮮に見えた

J子さんがそんな気持ちになったのは生まれて初めてだった。「夫は美術鑑賞や読書など文化的なことにはまったく興味がない人です。旅行に行っても景色を楽しむより、温泉とお酒にしか関心を示しません。夫婦の会話といえば、お金儲けの話と地元の人の噂話だけ。だから、カメラマンという別世界に生きている男性が余計に新鮮に見えたのかもしれません」。

カメラを構える人
写真=iStock.com/focalmatter
※写真はイメージです

J子さんはカメラマンの男性とその場で連絡先を交換し、LINEでやりとりを続けていた後、1カ月もたたないうちにどちらからともなく食事に行く約束をしたのだった。「あの日のことは忘れられません。これまで彼が経験してきた撮影での出来事や出会った人たちの話は時間を忘れるほど聞いていて楽しいものでした。夫にはない彼の知性や感性は私にとって刺激的で、その日に彼の宿泊しているホテルに誘われた時は本当にうれしかったんです」。

それ以降、定期的に会うようになった2人だが、J子さんいわく「彼は私の運命の人。身体を重ねるたびに彼への恋愛感情は募るばかり。彼は女性に慣れているのか、言葉や振る舞いのすべてが私にとって心地よく感じられるんです。その一方で、夫への嫌悪感は増していて、先日は結婚して初めて夫からのセックスの誘いを断ってしまいました。どうしても夫のことを受けつけなくなってしまっている自分がいるんです」。

恋愛経験が少ない人ほど深みにはまる

私が相談に乗ってきた40代、50代の不倫のケースを見ていると、この年代で不倫にどっぷりはまる人たちには共通点がある。それは、「恋愛経験が少ない人ほど不倫の深みにはまりやすい」ということだ。

若い頃、さまざまな恋愛を経験することで、ひとりひとり価値観が異なることを体感したり、思い通りにいかないもどかしさを味わったりすることもある。それがいいとか悪いとかではなく、「そういうこともある」と学ぶ機会を得る、ということ。恋愛経験の母数を増やすことは、恋愛で必要以上のダメージを負わないような耐性を身につけることにもつながる。

反対に、過去の恋愛経験が少ない男女が“いい年をして”パートナー以外の人に恋愛感情を抱いた場合、すぐに舞い上がってしまったり、後先考えずに行動してしまったりと正しい判断ができにくくなる傾向がある。それが不倫となると、「もうこの人しか考えられない」「運命の人にやっとめぐりあえた」などとまわりの迷惑を考えずに暴走し、想像以上に大きなトラブルに発展することも少なくない。

もしも自分や自分のパートナーに過去の恋愛経験が少ないという自覚があるなら、取り返しのつかない事態に陥る前に、目の前にいるパートナーとの関係性を改めて見直す必要がある。なぜなら、これまで長い間あなたのことを誰よりも近くに寄り添って理解しようと努めてくれたのは、今のパートナーにほかならないからだ。

目新しい出会いに心が揺れるのは仕方がないとしても、そこから先にどんな行動をとるかは自分自身が決めること。くれぐれも不倫という危険な領域に足を踏み入れることのないよう、今いるパートナーや家族のありがたみに気づくことが大切だ。

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