銀行も追い詰められれば悪魔に魂を売る

銀行の経営が年々厳しくなっている。銀行はかつて融資金利と預金金利の「利ざや」で大きな収益を上げてきた。でも長引く超低金利により、それも減益の一途だ。それでもネット銀行(インターネット専業銀行)の場合は、人件費や店舗運営コストを低く抑えることができる。

一方、メガバンクや地銀など店舗型銀行はそうもいかない。多くの実店舗と人員を抱えているからだ。一見すると体力がありそうなメガバンクも余裕がなくなっている。駅前の一等地などを中心に店舗の統廃合や移転の動きが進んでいるのがその証拠だ。

銀行の看板
写真=iStock.com/y-studio
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経営悪化に苦しむ店舗型銀行が、新たな収益源の柱として目をつけているもの。それが手数料をたっぷり上乗せした運用商品の販売だ。すでに銀行窓口などで販売されているが、より気合いを入れて売ってくる。今後はなかば欺くような商品も平然と売りつけてくるだろう。

これからの日本では、年金の受給額の減少や、受給開始年齢の繰下げが予想される。老後の生活費を心配する人が増え、銀行はそこにつけ込んで営業を仕掛けるはずだ。

「銀行がそんなことするの?」と思われるかもしれない。するのだ。店舗型銀行の経営はさらに悪化していく。超低金利に加え、地方経済の停滞も銀行経営の逼迫ひっぱくに追い打ちをかける。雇用規制のある日本では、リストラもしづらい。

背に腹は代えられなくなった銀行が悪魔に魂を売っても、なんらおかしくないのだ。

店舗型銀行は存在そのものがリスク

厄介なことに、銀行は私たちのお金の流れを把握している。しかも、正確だ。預金残高はもちろん、ボーナスや退職金など臨時的な収入の有無、クレジットカードの支払い状況など、すべて筒抜けである。ボーナス、退職、子どもの進学――折に触れて手数料の高い運用商品を勧めてくる。

もはや店舗型銀行の存在自体がリスクだ。近づかないにかぎる。

堀江貴文『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)
堀江貴文『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』(徳間書店)

高い手数料のかかる運用商品は、投資の鉄則の1つである「低コスト」に反する。手を出すべきではない。

私と共著を出したこともある経済評論家の山崎元さんが「手数料が0.5%を超える運用商品はすべてゴミだと思え」と言っていた。同感だ。そして、このルールに従うと、銀行の窓口で販売されている運用商品に買うべきものはなにひとつないことになる。むしろ買ってはいけないものしかない。

私たちにできる対策としては、ネット銀行にお金を置いておくことだろう。

ネット銀行は、人件費や店舗運営コストが低いぶん、販売している運用商品の手数料も安い。客に営業するとしても比較的マイルドだ。そもそも銀行員と対面で接触する機会がなく、運用商品を直接売りつけられる心配がない。

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