命令口調は子どもからやる気を奪う

子どもの勉強のことになると、どうしてもイライラを抑えられずに怒ってしまう……。そんな自分を責めてしまう親御さんは少なくありません。

「勉強のことをとやかく言う=教育ママ」という、昔ながらのイメージも影響しているのでしょう。ところで、「見守る子育て」を世に広めている私は「勉強反対派」なのではないか、という誤解をときどき受けることがあります。「子どものありのままを大事にするんだから、勉強を求めるのもやめたほうがいいんですよね」と。とんでもない!

子どもの将来の幸せに勉強が大切であることは、疑う余地もない事実です。子どもの幸せを願うなら、勉強にこだわるのは当たり前なのです。大事なのは子どもにその思いをどう伝えるかです。お互いが感情的にならずにすんで、気持ちよくすごせる言葉を選んでいく。

勉強中、机にうつ伏せになる子どもに声をかける両親
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「ちゃんとやったの?」「○○しなさい!」という命令口調は子どものやる気を奪うだけでなく、親からの指示がないと動けない子にしてしまう心配もあります。子育てのゴールを「自立」と考えるのなら、子どもが自ら動けるような言葉を渡してあげたいですよね。ここで有効なのが「問いかけ」です。

「宿題は何が出ているんだっけ?」「今回のテスト、何点くらい取れそう?」たとえばこんな感じです。「えっ? それだけで本当に自分から動けるようになるの?」と、よく言われます。それがなるんです。そこで本稿では、「家庭学習」の場面で起こりがちな親子の会話についてお話ししていきましょう。

「なにをするべきか」を思い出させよう

・本当は言いたくない言葉
早くやりなさい!

・子供に届く言葉
宿題は何が出てるんだっけ?

・小川先生のひと言
まずは、「何をしなければいけないのか」を思い出させましょう。

夕飯前に宿題を終わらせると約束したのにやっていない。または、いつまでもダラダラやっている……。「早くやりなさい!」「うるさいなぁ~。わかってるってば!」日々の生活でもっとも親子バトルに発展しやすい場面といえば、この「宿題をやったかどうか」ではないでしょうか。

親としては、学びの土台となる学校での勉強をおろそかにしてほしくない。一方で、「こっちは忙しいんだから、学校の宿題くらい自分でやってほしい」という親の都合もあるでしょう。仕事から急いで帰って、夕飯づくりや片づけなどやることが山積みなのに、思うように事が進まないとイライラしてしまう。これもごく自然な感情です。

とはいえ、ここでイライラの感情をぶつけてしまえば親子バトルに発展するのは目に見えています。理想的なのは、子どもが自分から宿題に取りかかり、その間に親は家のことをやっておく。そのためには強く言いたい気持ちをいったん横に置いて、子どもの気持ちに寄り添うことが解決の近道になります。