また、「骨を強くする」とされているビタミンDやカルシウムを過剰摂取すると、血液中のカルシウム濃度が非常に高い「高カルシウム血症」を引き起こし、消化管の不調やのどの渇き、多尿が現れます。

また、ビタミンB群とビタミンCは水溶性なので、体内に蓄積されずに排泄されます。そのためでしょうか、まったく量を気にせずに取っているケースがあります。

加えて、「体に優しい」などとうたわれている漢方薬も、日常的に服用している人は珍しくありません。ただ、サプリメントも漢方薬も、精製の段階で無機リンが加えられています。無機リンは食品添加物として数多くの加工食品に使われているため、過剰摂取になりやすく、腎臓に負担をかけます。

腎臓
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腎臓がなくなると体の中がゴミだらけになる

そもそも、腎臓が悪くなると、あなたの体に何が起きるのでしょうか。

想像してください。もしもあなたの住む町で、下水処理場やゴミ焼却施設といったライフラインがストップしたら、いったいどうなるでしょうか。キッチンで皿を洗った水も、浴室でシャンプーした後の水も、トイレで使った水も、排水口でたまったまま、流れていきません。

そして下水管が詰まってしまったら、何かの拍子で下水が逆流して、家じゅうの排水口から一気に吹き出します。こうして家の床は、臭く濁った生活排水で水浸しになります。

また、ゴミ焼却施設の操業が止まると、ゴミを載せた収集車は行き場をなくします。ゴミ捨て場のゴミも徐々に増えていき、道路にまであふれてきます。カラスや猫がゴミ袋をあさり、生ゴミがまき散らされて異臭を放ちます。その結果、町はどんどん汚れ、不潔になります。

ライフラインについては「あって当たり前」なので、普段はほとんど意識が向けられていません。しかし、町の衛生を保って、住民が健康に暮らすために必要不可欠な存在なのです。

そして人間の体が町だとしたら、住民が全身の細胞で、ライフラインの役目を果たしているのは腎臓です。もしも体から腎臓がなくなれば、細胞の活動で出てきたゴミ(老廃物)は排泄されません。そのために、体の中はゴミだらけになってしまうのです。

「沈黙の臓器・腎臓」をいたわることが長生きの秘訣

「腎臓は血液をおそうじするフィルター」

このたとえ話、多くの人が耳にしたことがあると思います。

車の場合は、ガソリンを燃料にして動く際に、排気ガスを外に出しています(電気自動車を除く)。それと同じように、人間は空気と水と食物を体内に入れて活動していますが、その結果、体内で発生する有害なゴミ(老廃物)や毒素は、体外に排出しなくてはなりません。