※本稿は、髙取優二『人は腎臓から老いていく』(アスコム)の一部を再編集したものです。
「ペットボトル症候群」は腎臓の大敵
夏の暑い時期はスポーツドリンクを飲む機会が増えます。
スポーツドリンクにはミネラルが含まれており、発汗によりミネラルが失われがちになる夏場に人気の飲み物です。なかには、意識してスポーツドリンクを飲んでいる方もいるかもしれません。
ただし、腎臓専門医の立場からすると、水の代りに多量にスポーツドリンクを摂取するのは、決して健康にいいとは言えないのです。
「ペットボトル症候群」という言葉をご存じでしょうか。ペットボトルに入っている清涼飲料水をたくさん飲んで起こる高血糖(血液中の糖分量が多い状態)です。
症状として、のどが渇く、尿量が増える、疲れやすい、吐き気がするなどが挙げられます。そんなペットボトル症候群を引き起こしやすいのが、スポーツドリンクです。
スポーツドリンクには、100ミリリットル当たり6gほどの糖質が含まれています。のどが渇くたびにスポーツドリンクを飲んでいたら、糖質の取り過ぎとなり、血糖値がぐんぐん上がります。そして、さらなるのどの渇きが起こるのです。この悪循環が高血糖を引き起こします。
水分補給にスポーツドリンク、経口補水液は逆効果
高血糖になると、なぜ腎臓がダメージを受けるのか。実は、腎臓は毛細血管の塊といっていいくらい、びっしり血管が詰まっています。血糖値が高くなると、血管が傷つきもろくなるため、腎臓の機能も低下するのです。
また、含まれている塩分の量も多いので、飲みすぎると腎臓に負担をかけます。「のどが渇いた」という理由だけで飲むには適していません。
スポーツドリンクを飲む必要があるのは、すでに脱水になってしまった場合です。脱水のときは、細胞の中と外の体液のバランスが崩れていて、水分だけを補給しても回復しません。ですから、塩分と糖質を含む経口補水液や、スポーツドリンクを飲むわけです。
それから、コーヒーや緑茶では水分補給になりません。利尿作用があるカフェインが含まれているので、水分が排出されてしまい、逆効果です。
水分補給には、特別な飲料ではなく、水を飲みましょう。