「健康にいい食材」が40歳以上の人には負担になる
患者さんとお話しする中で気づいたのですが、「健康によい」と思い込んで行っていることが、実は腎臓にダメージを与えている場合は少なくありません。
例えば、しょっぱくて脂っこいラーメンなどは、年齢を重ねると胃腸が受けつけなくなります。加えて、「いかにも体に負担をかけそう」と見た目で判断し、避けるようになるでしょう。
では、健康にいいというイメージが強く、子供時代に「栄養がある」などと勧められた食品については、どうでしょうか。
たとえ食べたくなくても、「健康のために」とがんばって取り入れている人もいるかもしれません。しかし、子供の頃に推奨されていたことを、40歳を過ぎてからも続けているケースは、実は健康を損なっている可能性もあります。
悲しい現実として、私たちの知らないところで、内臓などの機能は少しずつ衰えています。健康のために食べたはずのものが、子供の頃とは違って体の中で利用されず、蓄積して有害な物質になってしまうことがあります。
そのダメージを受けるのが、腎臓です。
牛乳の飲み過ぎはかえって危険
一般に「牛乳は健康によい」というイメージがあります。そんなイメージができた背景には、学校給食で牛乳が提供されてきたことがあるでしょう。
文部科学省が策定した「学校給食摂取基準」では、学校給食でのカルシウムの摂取量は、1日に必要な量の50%が基準値とされています。牛乳はカルシウムを多く含んでいるだけでなく、栄養のバランスも優れているため、学校給食に取り入れられたのだと考えられます。
ですから、子供たちの骨の成長のために牛乳が推奨されることは、十分理解できます。しかし、比較的年齢の高い人が健康のため、あるいは骨がもろくなる骨粗しょう症を予防するために、牛乳を飲むことはお勧めしません。
牛乳は、数ある飲み物の中でもリンの量が多いからです。
リンを過剰に摂取すると、血液中のリンが血管に入り込んで、血管が硬くなる石灰化が起こります。それだけでなく、リンとカルシウム、血液中のたんぱく質が結びつくと、血管の内側を傷つけて炎症を起こしたり、石灰化を誘導したりします。
こうして、動脈硬化を引き起こすのです。腎臓は血管の塊のような臓器です。動脈硬化が起きるということは、腎臓の機能が低下することと同じ意味だといえます。