既婚率で大きな差が

上流と下流では既婚率が大きく異なる。上流の既婚者は84.6%であるのに対し、下流は47.2%(図2)。甲南大学の森剛志(たけし)准教授は、「下流の既婚率が低い背景には、自分より高収入の相手を選ぶ“上方婚”志向がある」と指摘する。

「昔から女性は上方婚志向ですが、女性自身の年収が増えたため、上方婚から弾かれた下流男性はますます結婚が難しくなりました。一方、最近は男性側も上方婚志向が強い。本来、経済基盤のある上流男性は、妻が無収入の専業主婦でも構わないはずです。しかし、今回の調査で配偶者の年収について尋ねたところ、上流男性ほど妻の専業主婦=無収入率が低く(下流28.4%、上流18.0%)、高収入の女性と結婚している実態が浮かび上がった。つまり男女限らず、下流は結婚相手として見なされにくいのです」

上流はダブルインカム、下流は独身か、妻が専業主婦となると、世帯収入でも大きな差がつく。世帯収入が少ない下流は支出を削る必要に迫られるせいか、昼食代やタバコ代など日々使う金額は総じて上流より少なかった(図3)。

支出面では、家賃や食費、衣服などで上流と下流に差があったが、なかでも注目すべきは子供の教育費だ。下流は月平均3万6129円だが、上流は月平均7万3760円で、ほぼ倍額を子供に投資している(図4)。これで驚いてはいけない。上流の中には、この金額以外に数字に表れない隠れた教育投資を行う家庭もあるという。