スマホを1日3時間以上使う子どもはどんなに勉強しても、偏差値50にも届かない。そんな衝撃の調査結果を発表した東北大学加齢医学研究所の榊浩平さんは「追跡調査をしたところ、スマホの使用時間を減らせば子どもの学力は着実にアップするということがわかった。しかし、実際に自力で減らすことができたのは1割程度という問題がある」という――。

「スマホを3時間以上使用していると偏差値50未満」の衝撃

私たち東北大学加齢医学研究所では、子どもの「スマホの使用時間」と「学力テストの成績」の因果関係を解析するため、仙台市の小学生および中学生を対象に、2010年度から毎年、大規模調査を行ってきました。

『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)の著者・榊浩平さん
スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)の著者・榊浩平さん(撮影=プレジデントオンライン編集部)

調査を通じて、「スマホをたくさん使っている子は明らかに学力が低い」という衝撃的な結果が出ました。スマホの使用時間が1時間未満、1~2時間、2~3時間と増えていくにつれ、偏差値はどんどん低くなっていき、3時間以上使用している子どもたちでは、偏差値50を超える勉強時間と睡眠時間の組み合わせがひとつもなかったのです。

※「研究者が思わずゾッとした『子どものスマホ使用時間と偏差値の関係』小中学生7万人調査でわかった衝撃の事実

この結果からは、スマホを1日3時間以上使用していると、どれだけ勉強時間や睡眠時間を確保していても、成績が平均未満に沈んでしまうということがわかります。

ただ、もともと学力の低かった子が、スマホをたくさん使っていたのではないかとも考えられたため、その可能性を排除するために、さらに複数年度にわたってデータを集める追跡調査を行ったところ、図表1のような調査結果が出ました(2015年度における仙台市の小学校6年生および中学校1年生を対象)。

使用時間を減らせばスマホ依存は軽くなり成績が上がる

スマホを「使用しない」「1時間未満」の子は、「1時間以上に増加」すると成績が下がる一方、「1時間以上」使っていた子が「1時間未満に減少」したり、「使用しなくなった」りすると、成績は上昇に転じていたのです。

つまり現時点でスマホ沼に浸かっている子も、使用時間をなんとか減らすことができれば、学力をプラスにもっていくことができる。非常に希望のある結果が出ました。

ただ、ひとつ落とし穴があります。実際に、この調査で使用時間を自力で減らせた子は、全体の1割程度しかいなかったということです。

ですから、1時間未満に減らすためには、いかに周りの大人の手助けが必要かということです。