昔はアニメTシャツをファッションとして着る人はいなかった

ここで、唐突ですが少し自分語りをさせてもらうと、筆者は90年代前半に衣料品販売店に就職するまで一切ファッションに興味がなく、むしろアニメ・漫画・特撮を好む人間でした。今でいうところの陰キャでオタクだったわけですが、その頃は、いくら人気のある作品でもわざわざそれとコラボをした洋服や服飾雑貨なんて「まともな」ブランドでは企画生産販売していませんでした。

せいぜいアニメショップが取り扱っていた程度です。ましてやそのコラボ服や雑貨を「ファッションとして」身に着ける人は皆無でしたし、いたとしてもその手のイベントに参加するオタクくらいだったのではないかと思います。

それがいつの間にか一般アパレルでもコラボアイテムを頻繁に見かけるようになりました。ふと気が付いたのは2014年のことでした。スピンズやピーチジョンといった若者向けブランドが『美少女戦士セーラームーン』コラボアイテムを販売していたのです。また同時期には80年代の作品『魔法の天使クリィミーマミ』とのコラボTシャツを発売していたブランドもありました。

Tシャツの山
写真=iStock.com/Henda Tri Retnadi
※写真はイメージです

ファッション用途としてのキャラクターTシャツ

アニメショップ限定だったアニメキャラクターが全面にプリントされたアイテムが、早い時期だと2008年、遅くとも2014年にはファッション用途として販売されるようになったと考えられます。

さらに思い返してみると、2011年8月にはファッション雑誌『シュプール』が漫画『ジョジョの奇妙な冒険』とコラボを発表したことを思い出しました。この当時、まだお高く止まっていた海外ファッションを中心に取り上げる『シュプール』がいきなりコラボ号を発売したので驚いたことを今でも覚えています。2011年10月号でのことです。実際この号はこの目で読みました。