株主総会への出席は個人投資家の特権といえる。ファンドマネジャーなどのプロの運用者は信託銀行名義で株を保有していることが多く、出席する権利がないからだ。四季報の達人と呼ばれる渡部清二さんは「たとえトヨタのような大企業でも、株主総会なら個人投資家が直接質問したり、意見を言うことができる。私は『社長の夢』について聞くことにしている」という――。

※本稿は、渡部清二、複眼経済塾『株主総会を楽しみ、日本株ブームに乗る方法』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

会議でのプレゼンター
写真=iStock.com/DIPA
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自分なりの予想を語りつつ、「社長の夢」を聞く

株主総会でマーケットに関する質問の次に、私がよく聞くのが「社長の夢」です。「社長はどこを目指し、何をやりたくて、この事業を進めているのでしょう」「将来的に社長は、どのような世の中をつくりたいのでしょう。夢でいいので大きなビジョンを語ってください」といった具合です。

ここで熱い思いをどんどん語る経営者なら、迷わず応援します。上場したばかりの会社なら、大方7割程度の社長が熱く語ってくれます。

社長の夢を尋ねるにあたり、私がよく行うのが自分なりの予想を先に語るというものです。「私は御社にこのようなストーリーを感じています。それは合っていますか。イメージを教えてください」といった具合です。

たとえば東京を中心に酒販店をチェーン展開するカクヤスグループの株主総会では、こんな質問をしました。

「これまでのコンビニの成長は既存の酒屋、つまり『サザエさん』でいえば三河屋さんのような町の酒屋を転換して伸びていったものと思っています。ただし今後は少子高齢化が進み、むしろ昔の三河屋さんのように注文を取りに来たり、配達してもらうほうがありがたいと考える人たちが増えていくのではないでしょうか。その機能を持っているのが御社のように思うのですが、そのあたり、どのように思われていますか?」

既存の販路を生かした新たなビジネス

すると「おっしゃるとおりです。我々は三河屋のサブちゃんを目指しています。ただしコスト意識を持ったサブちゃんです」という答えが返ってきました。

『サザエさん』の三河屋で働く、ご用聞きがサブちゃんです。サブちゃんはサザエさんの家に来ると、時間を気にせずタラちゃんと遊んでいますが、この間にもコストがかかっています。「だから我々は、そこにコスト感覚を加えたサブちゃんを目指します」と、そんな面白いストーリーを語ってくれたのです。

「コスト感覚を持ったサブちゃん」は、いままでありそうでなかった存在です。町の酒屋さんは、ある意味、全部コンビニになってしまいました。そこにもう一度、新しいサブちゃんを復活させようというのです。

このカクヤスグループの最大の特徴は、お酒1本から届けるところです。そのネットワークを東京都内すべてに張りめぐらせていますが、「日本全国どこでも」を標ぼうしています。すでに販路はあり、あとは“サブちゃん”をつくるだけです。