利上げピッチを再加速させた英中銀
英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は6月22日、定例の金融政策委員会(MPC)を開催した。
投資家の多くがBOEは6月のMPCで0.25%の追加利上げを実施すると予想していたが、BOEは政策金利を0.5%引き上げ、年5%とした。BOEが0.5%の大幅利上げを行うのは、今年2月以来のことになる。
0.25%ずつの利上げを行ってきたBOEが6月に利上げ幅を0.5%に拡大した最大の理由は、英国のインフレの粘着性にある。最新5月時点の英国の消費者物価は総合指数ベースで前年比8.7%上昇と、前月から横ばいだった。また変動が激しい項目を除いたコア指数ベースでは同7.1%上昇と、伸びが2カ月連続で上昇した。
一方、消費者物価の先行指標となる生産者物価(産出価格ベース)は、5月時点で前年比2.8%上昇までディスインフレが進んだ。川上の物価が安定したため、川下の物価である消費者物価も今後は伸びが鈍化すると見込まれるが、それにしても足元の英国の消費者物価の伸び率は、他の主要国と比べても高いままであり、粘着的である。
通常、中銀は金融引き締めの際に、大幅な利上げを何回か行った後は、利上げ幅を縮小するものだ。言い換えれば、一度縮小した利上げ幅を再拡大させることは、金融引き締めの戦術としては異例のことである。それだけ、BOEの物価認識は甘かったともいえるし、英国が今回経験するインフレは深刻で粘着的ともいえる。