「旧統一教会による国賠請求」の可能性は低い

3つ目は、「教団側の反撃は情報戦に過ぎない」点だ。

5月10日付の東京新聞の記事「旧統一教会への解散命令請求の動きに停滞感 与党側に『終わらせた方がいい』の声も 質問権5回の後は?」では、ある自民党関係者の話として「下手に命令請求すれば、教団側から国家賠償請求されかねない。多少批判があっても証拠が集まらず請求できなかった、で終わらせた方がいい」と報じている。

旧統一教会による国賠請求の可能性は低いとみているが、旧統一教会側は解散命令請求に対して徹底的に戦うとしており、追い詰められた教団が捨て身で政治家にとって不都合な情報を出してくる可能性もある。

ただ、それ自体も「情報戦」であることに注意が必要だ。

「税金を払ったうえで献金させればいい」日本の教団トップが発言

解散命令請求が出されても、実際に裁判所が命令を出すまで、場合によっては数年はかかるとみられている。

命令が確定する前に旧統一教会側が完全にヤケを起こす、ということは考えにくい。

そもそも解散命令が確定した場合でも、宗教法人格を失うだけで、いきなり全活動が停止となるわけではない。宗教施設を法人として所有できなくなるので、個人の所有にうつさなければならない、などいろいろな対応は必要だが、一般的な団体と同じく、法律の範囲内で活動することは可能だ。

すでに韓国の教団本部は「解散命令請求の後どうするか」を考えはじめている。大陸会長(日本の教団組織の実質的トップ)である方相逸(パンサンイル)は、「もし日本の教団に解散命令が出されても、他の企業と同じように、税金を払ったうえで献金させればいい」と言っていたという。

故文鮮明氏と韓鶴子氏
写真=AFP/時事通信フォト
「税金を払ったうえで献金させればいい」(写真は故文鮮明氏と韓鶴子氏。2010年2月、韓国高陽市)