「あの鈴木某だけは許さない」

そう考える1つ目の理由は、「政治家による圧力の弱体化」だ。

2009年、旧統一教会による霊感商法事件、いわゆる新世事件が問題となった。旧統一教会への厳しい措置が検討されたが、その際は教団側が関係の深い政治家に泣きついて、圧力をかけさせたと言われている。

安倍晋三元首相銃撃事件以降、旧統一教会への批判が沸き起こると、教団関係者はメディアへの「圧力」を模索する。

拙著『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)でも経緯を書いたが、旧統一教会はプレスリリースを出した上で特定のメディアにクレームを入れ、「教団が作成した動画をテレビ等で使うのは著作権侵害」という主張を展開した。これはメディアに対する恫喝どうかつの一種と見て間違いないだろう。

また、萩生田光一衆院議員はあるメディアの取材中に「あの鈴木某だけは許さない」と発言していた、との情報もある。

圧力ゲージ
写真=iStock.com/mevans
政治家による圧力が弱体化している(※写真はイメージです)

旧統一教会問題に対する世論は変わっていない

拙著『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)にも書いたように、旧統一教会と関係を持ってきた政治家は数多く存在する。

今回の解散命令請求への動きに、教団と関係する政治家が何らかの圧力をかけるということも考えられる。

しかし、さまざまな理由から、いまは政治家が表立って動きにくい状況だと考えている。

安倍晋三元首相銃撃事件の後、私は「やや日刊カルト新聞」総裁の藤倉善郎とともに「統一教会系団体と関わりがある国会議員112人」というリストを作成。各メディアへ提供した。

これが旧統一教会追及のきっかけとなり、岸田政権で当初経済再生担当大臣を務めていた山際大志郎氏は、教団の集会に繰り返し参加していた疑惑により大臣を辞任している。

多少時間が経過し、世論は沈静化しつつあるとも言われているが、旧統一教会問題に対する厳しい姿勢は変わっていないはずだ。