日テレ旧本社跡地の再開発問題も浮上
再開発事業者が区に土地を無償で貸し、高さ制限が緩和される案件が同じ千代田区の二番町にある。日本テレビ放送網の旧本社跡地の再開発だ。日テレは制限高を元の60メートルから1.5倍に緩和した90メートルで商業ビルを計画し、手続き上、区がその案を引き取る形で区案として推進。この高さ制限緩和に住民の反対運動が起きている形だ。
この再開発で、高さ制限緩和を導き出したのが「再開発等促進区」という仕組みだ。これは本来、工場や港湾施設跡地など大規模な低・未利用地に対し、建物と公共施設を総合計画し活用を促すもので、その際、容積率のかさ上げで、高さ制限緩和が可能になるという利点がある。
この仕組みが、もともとの目的を外れ、都心部などの再開発にも使われるようになった。
日テレ旧本社跡地の商業ビル計画を知る関係者によれば、次のような経緯があったと証言する。
当初、大手不動産会社が日テレに家つき大工のような立場で「再開発等促進区の制度を使えなくもないが、お勧めできない」と助言していた。ところが、ある建設関連会社が安いアドバイス料で関わるようになって状況が変わり、日テレは“禁じ手”に手を染めた……。
視聴者離れや広告収入をネットなどに奪われ、斜陽となりつつあるテレビ業界で、都心に広大な土地を保有しながら、有効に活用しきれていなかった日テレは焦っていたのだろうと、この関係者はみている。
一方、日テレは旧本社跡地の商業ビル計画とは別に、隣接する四番町に広大な土地を所有しているが、そのうちの約1400平方メートルが現在、区の児童館と幼稚園になっている。日テレが区に無償で土地を貸し続けているのだ。
区側の試算で年間賃料1億数千万円程度。これが前述した二番町の旧本社跡地商業ビルの制限高緩和に影響したとみられている。区は「優遇せざるを得なくなる」(事情通)。これぞ、あうんの公民連携ということだろうか。