ハンガリーやチェコでは医師不足が深刻
実はこの方法は、ハンガリーやチェコにもメリットがあります。
というのも、ハンガリーやチェコでは医師不足が深刻で、「国内で医師を育成するよりも国外から優秀な人材を集め、医師を輩出したい」という想いがあるからです。
海外の医学部進学が増えているのも、こうした両者のニーズが合致して実現したものといえるでしょう。
ハンガリーには国立大学が4校あり、各校の医学部への受験資格は、日本の高校を卒業した者、もしくは卒業見込みの者となっています。
コースは予備コースと本科コースに分かれ、大学によって募集人員は異なりますが、もっとも募集定員が多い大学では、予備コースが25名、本科コースが5名となっています。
予備コースのほうが入学しやすく、書類審査の後に筆記審査があり、科目は①生物・化学・物理(2科目を選択/日本語または英語を選択)、②英語(リスニング、文法、読解)。その後、面接審査という流れになっています。
まずは予備コースで学び、本科コースに進めるように仕上げていきます。
一方本科コースはそのまま大学に進学。出題される問題はもちろん英語で、答えも英語で書くようになります。
2021年には23名中14名が合格
予備コース、本科コースとも、年度内に10回は審査テストがありますが、一度落ちてしまっても何度でも受けることができます(一部制限あり)。とはいえ、そこに甘んじることなく、まずは予備コースでしっかり学び、大学に行っても困らないだけの英語力と各科目の知識をつける必要があります。
一般入試で日本の大学の医学部を狙うのは難しいお子さんと、どうしても子どもを医師にしたいという親御さんにとって、ハンガリー国立大学の医学部に進学するというのは、ある意味ニッチなコースといえるでしょう。
なお、ハンガリーの医学部を卒業した後、日本で医師として働く場合は、日本の医師国家試験に合格する必要があります。
2019年の第113回医師国家試験では、ハンガリーの医学部を卒業した日本人学生31名中19名が合格しました。
2020年の第114回試験では、33名中20名が合格。2021年の第115回試験では、23名中14名が合格しています。
日本の過酷な医学部受験を回避したルートで医師になるという方法も、ぜひ覚えておいてほしいものです。