敵は他の誰でもない、家族だった
父が築いた会社。父が建てた家。父の努力と苦労の結晶を必死で守ろうと頑張ってきた美華さん。本来なら、家族が力を合わせて守るのが定石だが、敵は他の誰でもない、家族だった。
無責任にお金を貪り、嘘をついては資産を食いつぶす兄たち。
「私、家族仲よし、きょうだい仲よし、とか言ってる人が、まあまあ嘘臭く感じるんですよね。だいたい私の周りでもそんなこと言ってる人は、利害が絡んだり、事件が起きたりという経験をしていないからですよ。きょうだいにクズがいたら、そんなのんきじゃいられませんからね。
私は兄たちがこんな状態でしたから、20代の頃に結婚をあきらめました。婚姻関係を結んだら最後、相手のおうちにも絶対に迷惑をかけることが目に見えてましたから。だって、平気で家や土地を抵当に入れたり、消費者金融で借りまくるんですよ。結婚相手に借りを作るのも嫌だし、兄の尻拭いに巻き込みたくなかったから」
美華さんが費やしてきた膨大な時間と莫大な出費、そして封印してきた思いを目の当たりにすると、3人の兄たちの罪はとてつもなく重く感じる。